【5月5日 People’s Daily】「ほら、あそこにバーラル(アオヒツジ)がいるよ!」

 中国寧夏回族自治区(Ningxia Hui Autonomous Region)石嘴山市(Shizuishan)の賀蘭山で、車を運転する葛義紅(Ge Yihong)さんが声を上げた。見上げると、3頭のバーラルが小川のそばでのんびりと水を飲んでいる。60歳の葛さんは石嘴山市大武口区石炭井街道の環境衛生長として年中、賀蘭山付近で活動をしている。

 賀蘭山は中国北西部の重要な自然で、石炭などの資源が豊富にある。1950年代以降、大規模で無秩序な採掘により、山の環境は深刻な被害を受けた。2018年に賀蘭山の生態系保護プロジェクトが開始され、2021年には中国の特色ある生態学的保護・回復を実現した10モデルの1つに選ばれた。賀蘭山国家自然保護区内外で 214か所の保全が完了し、修復面積は約2万6000ヘクタールを超えている。

 賀蘭山の鉱山地帯で生まれ育った葛さんは「かつては炭坑作業の影響で白いシャツは黒く染まり、住民は服を外に干しませんでした。バーラルも見た覚えがありません」と振り返る。

 2017年、寧夏回族自治区は賀蘭山の生態環境の改善に取り組み始めた。露天掘り炭鉱を取りやめ、環境に悪影響を及ぼす採掘企業を閉鎖させた。削り取られた山腹を黄土で覆って地形の復元や植物の成長に努め、土砂崩れなどの発生を防ぐようにした。葛さんは「過去の『傷痕』を癒やし、さらなる緑化を進めています」と話す。

 賀蘭山は岩山が多くて土層が薄く、植物が育ちにくい。年間降水量もわずか200~300ミリで、今後はいかに効率的に植林を行い、緑を増やすかが最大の課題となっている。

 石嘴山市生態保護林場や寧夏大学(Ningxia University)などの研究機関は2018年から共同で試験を行い、ヤナギやニレ、アカマツ、ニセアカシアが寒さや干ばつに強く、賀蘭山の植樹に適していることを確認している。

 今日、賀蘭山のふもとを一周すると、あちこちで植樹に励む人を見かける。石嘴山市生態保護林場の張廷謝(Zhang Tingxie)場長は「この数年、山のふもとにアンズを植えており、満開の花を咲かせています。今年は、石炭の廃棄物が積み上げられたボタ山を、緑で覆っていきます」と語っている。(c)People’s Daily/AFPBB News