【4月29日 Xinhua News】中国山東省(Shandong)にある黄河デルタ国家級自然保護区の黄河河口ステーションで高級工程師(エンジニア)を務める張希濤(Zhang Xitao)さんは15日、トキが卵を産んでいるのを見つけた。「黄河河口でトキが生まれるのを待ち望んでいた」と張さんは語った。

 トキは中国の国家1級保護動物で「東方の宝石」と呼ばれる。世界の野生のトキは1981年時点で、陝西省漢中市で同年発見された7羽にまで減ったが、現在は9千羽余りに回復し、うち7千羽以上が同省に生息する。

 黄河デルタ国家級自然保護区と漢中市のトキ国家級自然保護区は2022年、トキのファウンダー(親となる最初の個体)を導入し、黄河河口の湿地で野生復帰の研究を行うことで合意。同年12月中旬に30羽が山東省東営市に到着した。

 トキが黄河デルタに来てから4カ月余りが経った。野生化訓練基地の広さは3300平方メートルあり、監視カメラの画像で見ると塩沼やアシ、灌木などが設置され、黄河デルタ湿地の生態環境を模していることが分かる。トキは時に止まり木で休み、時に低空で追いかけっこをし、水辺ではドジョウや虫を食べている。

 張さんは、野生化訓練を続けてトキが黄河河口の食生活や気候に早く馴染めるようにしていくと語った。

 黄河河口に位置する黄河デルタは、暖温帯の湿地生態系を持ち、国家1級保護動物のコウノトリなど多くの希少鳥類が越冬し繁殖する。(c)Xinhua News/AFPBB News