【4月27日 AFP】ミャンマーで2007年、反政府デモの取材中に治安部隊に銃撃されて死亡したジャーナリスト、長井健司(Kenji Nagai)さん(当時50)が最後まで手にしていたビデオカメラが26日、遺族の元に返却された。

 長井さんは2007年9月27日、ミャンマー最大の都市ヤンゴンで取材中、軍がデモ隊に発砲した際に亡くなり、カメラの所在はその後、分からなくなっていた。

 タイの首都バンコクにあるタイ外国特派員協会(FCCT)でこの日、ミャンマーの独立系放送局「ビルマ民主の声(DVB)」が、長井さんの妹、小川典子(Noriko Ogawa)さんにカメラを手渡した。カメラには、長井さんが最後に撮影した映像が残っていた。

 小川さんは「兄も(この日を)待ちに待っていたと思います」「お墓の前に供えてやりたいと思います」と話した。

 ミャンマーでは、長井さんの死亡に絡む訴追はされておらず、当局は「事故」と主張している。

 一方、日本で行われた司法解剖では、長井さんは約1メートルの至近距離から撃たれたことが明らかになっている。

 DVBのエイチャンナイン(Aye Chan Naing)編集長はカメラの入手先について、軍事政権下のミャンマーにおいては情報筋を守る必要があるため、詳細は語れないとした上で、善良な市民から入手したとだけ述べた。

 小川さんは残された映像について、事故死ではなかったことを示す証拠として、日本の当局に提出する考えという。

 映像前半は長井さんの遺族やDVBなどから提供。後半はタイ・バンコクで26日撮影。(c)AFP