【4月27日 Xinhua News】中国や米国の古生物学者がこのほど、雲南省にあるカンブリア紀初期の化石群「澄江動物群」から節足動物イソキシスの形態学的謎を解明した。研究成果は英学術専門誌「英国王立協会紀要」電子版に掲載された。

 節足動物の起源と進化は、これまでも学術界が注目する研究課題だった。イソキシスは約5億2千万年前のカンブリア紀に生息していたステム群節足動物の1種とされるが、全身が大きな殻で覆われているため肉眼や光学顕微鏡で殻の下の細部を観察することが難しかった。

 雲南大学古生物研究院と澄江化石地世界自然遺産博物館、米ハーバード大学の共同研究チームが、マイクロコンピューター断層撮影(マイクロCT)などの先端技術を用いて鮮明な画像を複数撮影。胴部の形状や付属肢の細部を明らかにした。

 研究の結果、イソキシスの前部付属肢とその後ろにある14対の付属肢は、形態的にも機能的にも明確に分化していることが分かった。前部付属肢は複数の肢節がつながった単枝型で、肢節の背面にある多数のとげにより獲物を効果的に捕らえることができた。

 前部付属肢の後ろにある4対の付属肢は肢節が太く、内側に1対のとげを持っていた。先端はかぎ状になっており、捕らえた獲物を分解して効果的に捕食できるようになっていた。

 後方の10対の胴部付属肢は、多数の内肢が分節しており、内側のとげや末端部の爪はなかった。外肢は発達しており、複数の板状構造が並んでいた。

 論文の責任著者の一人、雲南大学古生物研究院の劉煜(りゅう・いく)研究員は「CT画像によりイソキシスの細部形状まではっきりと確認することができた。前部付属肢とその後ろの4対の付属肢が機能的な頭部を形成し、胴部付属肢は遊泳や徘徊(はいかい)機能を持つ運動器官だったと推測できる」と語った。

 今回の研究成果は、節足動物の初期進化を研究する上での新たな形態学的証拠となる。(c)Xinhua News/AFPBB News