【4月27日 AFP】米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領(76)から1990年代に性的暴行を受けたとして、著名コラムニストのジーン・キャロル(E. Jean Carroll)さん(79)が起こした民事訴訟の審理が26日、始まった。

 ニューヨーク・マンハッタン(Manhattan)地区連邦地裁に出廷したキャロルさんは、「ドナルド・トランプに性的暴行を受けたために私は今ここにいる」と述べた。またそのことを恥じ、「二度と恋愛をすることができなくなった」と語った。

 女性誌「エル(Elle)」の元コラムニストと知られるキャロルさんは、1990年代半ばにニューヨークの高級百貨店「バーグドルフ・グッドマン(Bergdorf Goodman)」の試着室でトランプ氏から性的暴行を受けたと主張している。

 キャロルさんは証言台で当時の状況について、偶然会ったトランプ氏に、女性に贈る下着を買うのに助言がほしいと頼まれた後、いきなり試着室の壁に「押し付けられ」たと話した。「(トランプ氏の)全体重が胸にかかってきた。彼は私のタイツを引き下げた。私は押し返そうとした」などと、詳細に説明した。

 キャロルさんは2019年、ニューヨークマガジン(New York Magazine)社から出した自著の抄録で初めて自らの体験を公表した。そうするまでに20年以上かかった理由を問われると「ドナルド・トランプにおびえていた。自分のせいだと思って恥じていた」と述べた。

■SNS使った中傷も

 キャロルさんはトランプ氏を暴行罪の他、同氏のSNS「トゥルース・ソーシャル(Truth Social)」で昨年10月、「とんだ詐欺師」呼ばわりされたことに対する名誉毀損(きそん)でも訴えている。

 この件についてキャロルさんは「彼はうそをつき、私の評判を打ち砕いた。人生を取り戻すためにここにいる」と語った。

 証言に先立ち、ルイス・カプラン(Lewis Kaplan)判事は、トランプ氏がトゥルース・ソーシャルに、裁判は「でっち上げの茶番」 であり、キャロルさんの代理人は「政治工作員」だと投稿したことについて、「完全に不適切」だと非難した。

 大統領就任前のトランプ氏の性的不適切行為を告発している女性は、キャロルさんを含め十数人に及ぶ。トランプ氏は全ての疑惑を否定している。

 キャロルさんの訴訟は民事のため、トランプ氏が訴追されることはないが、敗訴すれば同氏が性的暴行疑惑で初めて法的責任を問われるケースとなる。(c)AFP/Andrea BAMBINO