【4月26日 AFP】パナマ当局は水不足の影響で、太平洋と大西洋を結ぶパナマ運河(Panama Canal)の通航を制限せざるを得なくなっている。

 パナマ運河庁(ACP)は今年の渇水期に既に5回、大型船舶の通航を制限している。パナマ運河は世界の海上交通の約6%を占めており、航行する船舶の大半は米国、中国、日本のものだ。

 パナマ運河は海抜26メートルの人造湖ガトゥン湖(Lake Gatun)を頂点とし、閘門(こうもん、ロック)で仕切られた閘門式運河。船1隻が航行するたびに2億リットルの淡水が海洋に流れ込む。この水源となっているのが、コロン(Colon)にあるガトゥン湖と、同じく人造湖のアラフエラ湖(Lake Alhajuela)だ。

 だが、いずれの人造湖も降水量不足で部分的に干上がっている。運河庁によると、3月21日から4月21日で、アラフエラ湖の水位は7メートル低下した。

 運河庁の責任者エリック・コルドバ(Erick Cordoba)氏はAFPに、通航料が最も高い大型船舶の通過が制限され、収入にも影響が出ていると話した。

 2022年度の通航量は1万4000隻以上で、政府の年間歳入は25億ドル(約3300億円)に上った。

■水資源めぐり地元住民との対立も

 当局が懸念するのは、航路を変更する海運会社が出てくることだ。

 運河庁のホルヘ・キハノ(Jorge Quijano)元長官はAFPに、「(運河に)水を供給する新たな貯水池がなければ、運河の発展が危ぶまれる」「新たな水源確保が急務だ」と述べた。

 一方で運河流域は、パナマの人口430万人の半数以上にとって水の供給源にもなっている。

 複数の地域で水不足から給水制限が行われており、抗議運動が起きている。

 パナマ市周辺では無秩序な都市化が進んでおり、運河と地元住民の間で水資源をめぐる対立が起こりかねないと専門家は警告する。

 パナマの気象・水文地質学研究所のルス・デカルサディージャ(Luz de Calzadilla)氏は「全国的に雨が少ないが、通常の乾期の範囲内」とした上で、エルニーニョ(El Nino)現象により、下半期も降水量が減少する可能性が高いと話した。(c)AFP/Juan Jose Rodriguez