【4月25日 東方新報】中国で高級ブランド品の売り上げが回復している。今年に入って厳格な新型コロナウイルス対策が緩和され、消費が活発化した象徴といえる。

「中国最大のぜいたく百貨店」といわれる北京SKPには連日、多くの女性客らが訪れている。SKPは英国のデータ会社による「世界のラグジュアリー百貨店の1平方フィート(0.09平方メートル)あたりの売上高トップ20」で2位にランクインしている。店頭に並ぶ海外ブランドのバッグやネックレス、宝飾品などが次々と売れている。

 価格は値上がり傾向だが、それでも消費は止まらない。ある女性は「2年前に7400元(約14万3857円)で買ったルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)のショルダーバッグを転売して、3000元(約5万8320円)の利益が出ました。最近買った4900元(約9万5256円)のヴィトンのバッグは、もう7300元(約14万1913円)に値上がりしていますよ。ぜいたく品は『おしゃれな資産』ですね」と話す。

 フランスの高級ブランド大手LVMHは4月12日、今年の第1四半期決算で売上高が予想を大幅に上回ったと発表。中国における消費の急回復が寄与しており、「中国が今年の成長の原動力になる」と見通しを示した。

 中国のコンサルティング機関・要客研究所の「中国ぜいたく品リポート2022」によると、2022年の中国の高級品売上高は9560億元(約18兆5848億円)。前年比4%減にとどまったが、それでも世界の高級品市場の38%を締めている。中国の高級品市場はコロナ禍以前の2019年には1兆419億元(約20兆2547億円)に達した「実績」があり、世界中の高級ブランド企業が中国での市場拡大を狙っている。中国の消費が回復する期待から、LVMHやエルメス(Hermes)、ティファニー(Tiffany)、プラダ(Prada)といった世界のラグジュアリー大手の株価を押し上げる効果も生んでいる。

 中国南部の海南省(Hainan)で4月11~15日に開かれた「中国国際消費品博覧会」では海外を中心に3100ブランドが参加した。ロンドンを本拠地とするPWCコンサルティング(PwC)は会場でリポートを発表し、「中国は消費者が膨大で、収入は絶えず上昇しており、デジタル経済のインフラで世界をリードしている。海外ブランドにとって巨大な吸引力を持っている」と指摘。世界中のブランドが中国市場に浸透しようとしている。(c)東方新報/AFPBB News