【4月24日 AFP】2022年の欧州の軍事費はロシアによるウクライナ侵攻後、冷戦(Cold War)時代並みの高水準に増加した。スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が24日、発表した。

 SIPRIによると、欧州の軍事費増を受けて世界全体の軍事費も2兆2400億ドル(約300兆円)と8年連続で過去最高を更新した。これは、世界の国内総生産(GDP)の2.2%に相当する。

 SIPRIのナン・ティアン(Nan Tian)上級研究員はAFPに、「ウクライナ紛争が欧州の軍事費を押し上げているほか、東アジアにおける米中間の緊張の高まりも押し上げ要因となっている」と指摘した。

 SIPRIによれば、昨年の欧州の軍事費は前年比13%増だが、インフレ率は考慮されていないため、実際の支出はさらに多いとみられる。

 増加幅は30年超ぶりの大きさとなった。為替相場の変動を排除して算定すると、欧州の軍事費は「ベルリンの壁(Berlin Wall)」が崩壊した1989年と同水準となる。

 国別では、米国が世界の軍事費の39%を占め、2位の中国(13%)と合わせると、2か国で半分以上を占めている。

 3位以下はロシア(3.9%)、インド(3.6%)、サウジアラビア(3.3%)の順。

 6位は英国で、欧州では最大の3.1%。ドイツは2.5%、フランスは2.4%だった。いずれも対ウクライナ支援額が含まれる。(c)AFP