「国王のベッド」、伝統復活なるか 英戴冠式
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【4月30日 AFP】来月6日に行われるチャールズ英国王(King Charles III)の戴冠式の前夜、1000年の歴史を受け継ぐ、「キングサイズ」をやや上回る大きさのベッドが、王室での役割を初めて果たすかもしれない。
かつて英国の君主は戴冠式の前夜、現在は議会議事堂として使用されているウェストミンスター宮殿(Palace of Westminster)で一夜を過ごすのが習わしだった。
16世紀のヘンリー8世(Henry VIII)を最後に一度はすたれたこの伝統だが、1821年のジョージ4世(George IV)の戴冠式の際に復活した。しかし、1834年の火災で初代のベッドは焼失してしまった。
ベッドは1858年に作り直されたが、新しいベッドが「実際に戴冠式の前夜に使われたことはこれまでない」と、歴史家のマーク・コリンズ(Mark Collins)氏は言う。
■工場で発見
1838年にビクトリア女王(Queen Victoria)の戴冠式が行われた際には、まだ新しいベッドはなかった。そして、その後の歴代国王は、戴冠式前夜にウェストミンスターで過ごしていない。
新しいベッドは第2次世界大戦中に解体され、保管されたまま忘れ去られてしまった。
1953年のエリザベス女王(Queen Elizabeth II)の戴冠式の際には、ベッドの所在はすでに分からなくなっていた。
そして1970年代後半になってようやく、「ビクトリア・アンド・アルバート博物館(Victoria and Albert Museum、V&A)」の専門家、クライブ・ウェインライト(Clive Wainwright)氏が、ベッドを探そうと呼び掛けを行った。
すると、ある家族から連絡があり、ベッドがウェールズの毛織物工場に置かれていることが分かった。1960年代に「国王のベッド」はオークションで取引されていたというのだ。