■「反ロシア感情」の高まる可能性も

 ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は停戦合意を仲介したが、アルメニアは、数十年にわたり実効支配してきたナゴルノカラバフの一部を失うことになった。ロシアは不安定な停戦を維持するため、平和維持部隊を派遣した。

 この停戦合意は、アルメニアでは国辱と受け止められた。

 政治アナリスト、ビゲン・ハコビャン(Vigen Hakobyan)氏は「アルメニアのロシアへの信頼度は歴史的な水準にまで低下している」と指摘した。「失望感は極めて強く、いずれ反ロシア感情が高まる要因になり得るほどだ」

 別の専門家、ハコブ・バダリャン(Hakob Badalyan)氏によると、アルメニアのエリート層の大多数は反ロシアだ。

■「実利的な判断」

 アルメニア人住民が多数派を占めるナゴルノカラバフ地域では、ロシアの平和維持部隊について、アゼルバイジャンから自分たちを守ってくれる唯一の存在だとみられている。しかし、複雑な思いを抱く人も多い。

 匿名を条件にAFPの取材に応じた56歳の男性は「ロシア平和維持部隊の存在は、アルメニア人を皆殺しにし、追放したいと思っているアゼルバイジャン人に対する抑止力となっている」と話した。

 ただし、「一つの村と重要な軍事拠点が一晩のうちにアゼルバイジャン軍に制圧されたのを見て、われわれはロシアの誠実さに疑問を持ち始めた」と打ち明けた。

 アルメニア・アゼルバイジャン両軍は今も頻繁に衝突している。今月11日には国境沿いで戦闘が起き、両軍合わせて7人の兵士が死亡した。

 独立系ロシア人アナリスト、コンスタンチン・カラチェフ(Konstantin Kalachev)氏はAFPに対し、ロシアはアルメニアをめぐり、アゼルバイジャンを支援するトルコとの関係を損ないたくないと考えているとの見方を示した。

 カラチェフ氏は「ロシアは実利的な判断からアルメニア側に付かなかった」「いずれにせよ、アルメニアには頼れる国がない」と語った。(c)AFP/Mariam HARUTYUNYAN