【4月17日 People’s Daily】衛星測位システム「北斗(Beidou)」を使った中国企業の走行車線ナビゲーションが、試行中の8都市から全国に拡大する。北斗の高精度測位技術を使った新サービスがまた誕生した。

 中国が独自に開発した北斗は「より高い精度、より高い信頼性、より良いサービス」の段階に突入している。中国の衛星測位サービス産業の総売上高は約4700億元(約9兆945億円)に達し、今年1月現在で、北斗時空知能サービスは世界中の端末機15億台と連動。北斗高精度時空サービスの使用は1700億回を超え、世界各地をカバーしている。

 北斗の利用範囲は交通から農業、林業、畜産業、漁業、港湾業務、電力検査まで広がり続けている。北斗の時空サービスは水道、電気、ガスなどのインフラを支えている。2022年上半期の時点で北斗は20以上の産業分野において1550万点以上の設備で活用されている。中国衛星ナビゲーション測位協会の于賢成(Yu Xiancheng)会長は「北斗は中国における重要な時空間インフラとなり、デジタル経済の発展においても重要な役割を果たしている」と強調する。

 北斗は人工知能(AI)、ビッグデータ、クラウドコンピューティング、第5世代移動通信システム(5G)と結合し、新たな技術分野で利用が広がっている。走行車線ナビーションはその代表例だ。サービスを運営する地図検索サービス大手「高徳地図(AutoNavi)」の劉振飛(Liu Zhenfei)総裁は「運転中も携帯電話から高精度の位置情報を取得でき、正確な音声ガイダンスなどを提供します」と説明する。

 北斗衛星測位システムプロジェクトの楊長峰(Yang Changfeng)総設計士は「新時代の北斗は『インターネット、データ、端末、サービスとの融合』という理念に基づき、産業の融合や産業チェーンの強化を促進し、世界に先駆けて携帯電話の高精度測位ネットワークを完全構築することを目指している」と説明する。

「中国衛星測位・位置情報サービス産業発展白書2022」によると、2021年に衛星測位技術と直接関係がある半導体や部品などの生産高は1454億元(約2兆8134億円)に達し、衛星測位サービスから派生した関連の生産高は3236億元(約6兆2616億円)に上る。衛星測位サービスに関連する企業・機関は約1万4000を数え、50万人以上の従業員を擁している。浙江省(Zhejiang)徳清県(Deqing)が地理情報産業の集まる「地理情報タウン」に発展したように、北斗システムは各地に多大な経済的利益を生み出している。

 于会長は「北斗衛星測位サービスは、経済のデジタル化を加速させる重要な手段。第14次5か年計画(2021~2025年)の期間中、北斗のサービスの標準化と広範化を促進し、経済発展に貢献していく」と話している。(c)People’s Daily/AFPBB News