地下洞窟で500日間 隔離実験終え会見 スペイン人登山家
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【4月15日 AFP】完全な隔離生活が人体に及ぼす影響について調べる実験を続けていたスペイン人の女性登山家が14日、地下の洞窟から500日ぶりに姿を見せた。
ベテランの単独登山家、ベアトリス・フラミニ(Beatriz Flamini)さん(50)は黒っぽいサングラスをかけてスペイン南部モトリル(Motril)近郊の洞窟から現れると、出迎えた家族と笑顔で抱擁を交わした。
フラミニさんは記者団に対し、「1年半、誰とも話さなかった。独り言だけだ」とし、「掛け替えのない」経験だと話した。
フラミニさんが地下70メートルで隔離生活を始めたのは2021年11月21日。世界中で新型コロナウイルスが猛威を振るうさなかで、ロシアがウクライナに侵攻する前のことだ。フラミニさんは「世界で何が起きているのか分からない。私にとって、今はまだ2021年11月21日のままだ」と語った。
フラミニさんやチームのメンバーが全国紙パイス(El Pais)など国内メディアに語ったところによると、緊急時に助けを呼ぶためのインターネット用のルーターが故障した1週間は地上での生活を余儀なくされたが、その時もテントで隔離生活を続けた。
洞窟の中では人工照明で読書をしたり、運動をしたり、毛糸の帽子を編んだりして過ごしていたという。食料は、モニタリングを続ける専門チームが一切接触せずに洞窟内の所定の場所に置いていた。
警備を担当したアンダルシア(Andalusia)洞窟学連盟のダビド・レジェス(David Reyes)氏は、「こうした挑戦は何度も行われてきたが、規定をすべて満たしたものはなかった」と指摘。今回の実験について、「たった一人で、完全に隔離され、外部と接触せず、(自然)光もなく、時間の管理も行われなかった」と説明した。
エクトル・ゴメス(Hector Gomez)観光相は「極限の耐久テスト」として、科学にとって「非常に大きな価値」があるとの見方を示している。
フラミニさんは、試練の一つは洞窟にハエが入り込んできた時だと語る一方で、挑戦を断念することは「決して」考えなかったと話す。
「大変な時もあれば、とても素晴らしいひとときもあった。そのいずれもがあったおかげで、乗り切れた」として、「自分自身とも、とても良い関係になれた」と付け加えた。
フラミニさんが2台のカメラで自身の体験を記録した動画は、スペインの制作会社によってドキュメンタリーしてまとめられる予定だ。(c)AFP