校内暴力予防のための教育を施すSPO(c)news1
校内暴力予防のための教育を施すSPO(c)news1

【04月08日 KOREA WAVE】韓国で昨年、校内暴力を受けた生徒数は5万4000人に達した。2021年の3万6000人から50%も増加した。新型コロナウイルス対策の緩和で、対面授業が再開され、校内暴力が再び蘇ってしまった。心理学者や校内暴力の相談員ら専門家たちは、校内暴力解決のかぎとして▽暴力予防に向けた教育強化▽早期発見と迅速な対処▽学校専担警察官(School Police Officer、SPO)権限の強化――を挙げる。

◇「暴力はたいしたことではない」

「校内暴力を減らすためには、実効性ある予防教育が必要だ」。こんな声が強い。家庭と学校で同時に強い関心を持って教育しなければならないということだ。

ユースメイト児童青少年問題研究所のキム・スンヘ代表は、ある校内暴力の加害者の小学生が語ったという次の言葉を紹介する。

「大人たちは『勉強さえうまくやればいい。こういうの(暴力)はたいしたことではない』と言った」

子どもたちの行動は、大人の影響を多分に受けている。「痛みと傷を他人に与えることにためらいがなくなったのは大人たちだ」。キム代表はこう主張する。

関連法によると、学校の長は生徒・保護者・教師に校内暴力予防教育を学期別に1回以上実施しなければならない。だがそれが実質的になされていないという。保護者教育の場合、家庭通信文に代替されることもあるそうだ。

「韓国の学校暴力予防政策は海外に比べて、必ずしも低い水準とは言えない。新たな政策を作るより、実質的な影響を与えられるような中身のあるものにすべきだ」

キム代表はこう訴える。

京畿大犯罪心理学科のイ・スジョン教授は「小学校の時から施すべき人格教育が不足している。だから校内暴力が発生する。学校は知識だけを教える場所ではなく、基本的に人間を作る場所だ。しかし、ある時点から、教師が大学入試のための知識伝達者に変わってしまった」と訴える。

◇求められる「教師の対処を支持する空気」

校内暴力は、早期に発見し、迅速に対処することが重要だという意見がある。現在、教育庁に学校暴力対策審議委員会(暴力対策審)を置いて意思決定するというシステムがあるが、対応に時間が長くかかり効率的ではない。

イ・スジョン教授によると、校内暴力事件が暴力対策審で取り上げられると、加害者の学校生活記録簿に最終判定が残るのだという。このため関係者が、何とか記録簿に残らないように、生徒が卒業するまで審議を引き延ばすのだという。

生活記録簿に加害の記録を残すようにすれば、生徒らがこれを嫌がって校内暴力が減るだろう、と関係者は予測していた。「しかし、現実は全く異なる方向に向かっている」。イ・スジョン教授はこう見る。

そのうえで「現場の教師らは早い段階で校内暴力事件に介入し、対応の必要度によって事案を選り分けている。学校レベルでこうした教師の対処を支持する空気が大切だ」と強調した。

校内暴力事件に早く対処するためには、SPOの権限を強化する必要があるという意見も出た。SPOは、校内暴力の加害生徒や非行青少年を補導、被害生徒を保護する役割の警察官だ。

イ教授は「SPOがもっと学生たちの生活指導に深く介入できるようにすべきだ。海外先進国の場合、SPOが学校のさまざまな意思決定に審議委員として入っている」と強調する。

実際、校内暴力根絶のためにSPOができてから10年が経ったが、青少年10人中4人は、SPOの役割をきちんと認知していないことがわかった。今年2月の警察庁の「SPO制度運営評価に関する研究」最終報告書によると、SPO制度認識調査に参加した青少年632人のうち37.2%に当たる235人(重複回答)は、SPOの問題点を尋ねる質問に「何をしているのかわからない」と答えた。

(つづく)

(c)MONEYTODAY/KOREA WAVE/AFPBB News