【4月6日 AFP】中国で最も台湾に近い場所の一つ、平潭(Pingtan)島には6日、強風を物ともせず多くの中国人観光客が訪れていた。中国軍が台湾海峡(Taiwan Strait)の沿岸警備を強化したことも気にならない様子だ。

 台湾の蔡英文(Tsai Ing-wen)総統は5日、米カリフォルニア州に立ち寄り、ケビン・マッカーシー(Kevin McCarthy)下院議長と会談。これに合わせて中国当局は、同海峡の警備強化を発表した。

 さらに中国政府は両氏の会談後、自国領土である台湾を守るため「断固たる、強力な措置」を取ると強調した。

 平潭島は台湾の馬祖(Matsu)島の南約80キロ、台北から186キロの位置にあり、中国人民解放軍(PLA)の基地が置かれている。

 島を訪れたAFP取材班は、付近の海上を貨物船や漁船が往来するのを目にした。軍事活動が通常より特に活発に行われている様子はなかった。

 団体観光客は岩の多い沿岸を歩き、自撮りしていた。ある女子学生(20)は蔡氏の訪米には反対であり、同氏は米国に「屈従」しているとの考えを示した。「台湾が独立国だったことは一度もない。中国の台湾省だ」「いつか必ず再統一される」と語った。

 別の20代の女性は、昨夏行われたような大規模な軍事演習が「きょう起こるとは思っていない」と話した。

 AFPは他の観光客にも取材を試みたが、蔡氏の訪米に関するニュースを追っていない、もしくは複雑な中台関係問題をよく理解していないとして断られた。(c)AFP/Matthew WALSH