【3月31日 AFP】国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)は31日、カンボジア政府がアンコールワット(Angkor Wat)遺跡に不法に住んでいる約1万世帯を「集団強制退去」させていることについて、直ちに中止するよう求めた。

 カンボジア政府は昨年、同遺跡の広大な敷地に不法に暮らす人々を、25キロ離れた田んぼだった土地につくる新集落に移住させる計画を打ち出した。

 当局は、移住は国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界遺産にも登録されている遺跡を守るためだと主張。不法占拠者の集落でごみが発生しているほか、水資源の乱用などもあり、周辺環境が破壊されていると説明した。

 政府は、不法占拠者らは自発的に移住しているとしている。

 アムネスティのミン・ユウ・ハー氏は声明で「実質的な大規模強制退去だ。自発的に動くよう圧力をかけられ、拒んだり異議を申し立てたりすれば報復されると感じていた」と指摘。「カンボジア当局は何千もの家庭を貧困にさせる深刻なリスクがある有害な退去政策を中止すべきだ」と批判した。

 移住した家庭には幅20メートル、長さ30メートルの土地と現金350ドル(約4万6000円)、屋根用のブリキ板30枚、生活保護カードが与えられる。だが、家は自力で建てなければならない。(c)AFP