【4月9日 AFP】温泉大国ハンガリーで電気代が高騰し、施設が経営難に陥っている。

 首都ブダペストを訪れる多くの観光客にとって、豪華な装飾が施された施設でゆっくり温泉につかるのが旅の目玉になっている。

 チェスができるネオバロック様式のプールからアールヌーボー様式の豪華な建物、オスマン帝国時代のハマム(浴場)まで、目を見張るような華麗な温泉施設が数多く存在する。

 市内の温泉施設を管理するブダペスト温泉公社(BGYH)のエディト・レフィー(Edit Reffy)氏はAFPに対し、温泉施設はエネルギーを大量に消費するため、昨年と比べコストが2.7倍にまで膨れ上がっていると指摘した。

 温泉水自体は十分温かいが、大規模な歴史的建造物の運営と暖房に多大な費用が必要となるためだ。

 複数の施設が入場料を値上げし、営業時間を短縮したほか、屋外プールを閉鎖せざるを得なくなったところもあるという。

 レフィー氏によると、ゲッレールト(Gellert)のようなブダペストの歴史ある温泉の料金は、浴場内でのパーティー(通称スパーティー)で知られるセーチェーニ(Szechenyi)温泉も含め30%以上値上げされた。

■洞窟温泉

 格安で、あまり知られていない地方の温泉はエネルギー危機で大打撃を受けており、閉鎖した施設もある。

 ハンガリー浴場協会(Hungarian Baths Association)のゾルタン・カンタス(Zoltan Kantas)会長は「施設の負担は大きい。全国の施設のうち4分の1は営業時間を短縮した」と述べた。

 ハンガリーには、北東部ミシュコルツタポルツァ(Miskolctapolca)の一風変わった迷路のような洞窟温泉など、1300か所を超える温泉地が存在する。

 世界最大を誇る南西部ヘービーズ(Heviz)に位置するヘービーズ温泉湖は、現在も自然と温泉が湧き出している。湖水の温度は、冬でも22度以上、夏は38度にまでなる。

 ハンガリーの温泉文化は約2000年前、ローマ人によってもたらされ、16世紀のオスマン帝国時代も盛んだった。(c)AFP