【3月31日 Xinhua News】中国では現在、衛星を使った地震予測の研究が進んでいる。

 雲南省(Yunnan)昆明市(Kunming)でこのほど開かれた第35回全国宇宙探査学術シンポジウムでは、中国科学院国家空間科学センター研究員で国際宇宙航行アカデミー(IAA)会員の申旭輝(Shen Xuhui)氏が「地震の予測はまだできないが、その方向に向かって努力している。10~20年後には地震予測で大きな飛躍を迎えられると信じている」と述べた。中国地震立体観測体系を構成する地球観測プラットフォーム初の衛星「張衡1号」計画で首席科学者とプロジェクト副チーフデザイナーを務める同氏は、2018年に打ち上げた「張衡1号」の5年間の運用状況について説明し、全地球電磁場、電離層プラズマ、高エネルギー粒子のデータの観測を通じ、新たな地震モニタリング・予測方法を模索していると述べた。

 同氏によると、地震予測の実現までにはまだ大きな隔たりがあり、時間、場所、強度という3要素の正確な予測はできていない。地震予測を真に実現するには、人工衛星1基という単一手段だけに頼ることはできず、地震学や電磁学、測地学、地球化学など多種の学問分野と手段を併用する必要がある。

 それでも同氏は「地震予報は最終的に実現できると考えている」と楽観的で、「さらに10年たてば膨大なデータが積み上がる。機械学習やビッグデータ、人工知能(AI)などの情報技術(IT)の発展に伴い、計算力はますます高まり、地震発生前にリアルタイムなデータ処理を行うことができるようになる」との考えを示した。

「張衡1号」はこれまでに、世界各地でマグニチュード(M)7以上の地震約60回、M6以上の地震600回近くを観測した。M6以上の地震の80%では発生前の半月以内に顕著な前兆があり、その多くは1週間ほど前に起こっている。衛星が探知した前兆は多くの場合、震源地の真上ではなく、数百キロずれた地点で起こっている。

 同氏によると、中国は新たな衛星「張衡1号02」の打ち上げを予定している。新衛星は24時間連続のモニタリングを実現、対象地域を地球の南北両極に広げ、地球システムの変化に対する観測力を高める。

 地震予測がこれまで世界的な難題だったのは、科学者が一生かけても、十分に多くの破壊的な地震の例を集めて統計を取り、予測の方法や理論を検証することが難しかったためだ。衛星によるモニタリングで従来の地震科学研究の限界が打ち破られたことで、地震予測に新たな可能性が生まれている。(c)Xinhua News/AFPBB News