【3月30日 Xinhua News】中国内モンゴル自治区(Inner Mongolia Autonomous Region)の大興安嶺重点国有林区ではここ数年、炭素吸収プロジェクトを積極的に実施している。同林区の面積は10万6700平方キロメートルと国有林区としては最大の規模を持つが、2015年に63年続いた商業伐採の歴史に終止符を打った。

 内モンゴル森林工業集団の包国慶(Bao Guoqing)カーボンシンク(炭素吸収源)弁公室主任によると、当初は仕事をやめた林業従事者の多くが途方に暮れたという。

 同社は「生態製品」の価値実現メカニズムの構築を模索し、炭素吸収プロジェクトの開発と取引を実施した。生態製品とは中国で打ち出された環境保護の概念で、新鮮な空気やきれいな水、快適な住環境など良好な生態環境を構成する要素を指す。

 包氏は「炭素吸収製品(カーボン取引の対象となる生態環境要素)が国有林区の転換と発展を支える重要要素になるとは誰も考えつかなかった」と述べた。

 林業従事者の仕事は木の伐採・販売から森林保全へと変わった。大興安嶺林区の森林面積が増え、森林種がより整備されたことで、炭素吸収製品の開発基盤はより強固になった。

 同社はこれまでに12件の炭素吸収プロジェクトを開発。排出削減量は7800万トン、生産額は約23億4千万元(1元=約19円)を見込んでいる。

 試算によると、内モンゴル自治区大興安嶺地区の森林生態系が吸収・貯留する炭素の量は年平均488万トン増加し、酸素放出量も902万トン増加する。同林区には炭素吸収プロジェクトに適した森林が260万ヘクタールあり、年間で700万トン相当の二酸化炭素(CO2)の排出を削減できる。現在のカーボン取引価格で試算すると、年間生産額は2億8千万元に上る。(c)Xinhua News/AFPBB News