【4月4日 AFP】米俳優ジェニファー・アニストン(Jennifer Aniston)は、現代はコメディー中に不適切な表現がないか、一言一句に神経を配らなければならず、演者にとって世知辛い世の中になったと話す。「コメディーの魅力は、自分をネタにして人生を笑い飛ばすことにあるのに」

 アニストンは、アダム・サンドラー(Adam Sandler)と共演した新作映画『マーダー・ミステリー2(Murder Mystery 2)』の舞台となった仏パリで、AFPのインタビューに応じた。

「(昔は)偏見に凝り固まった人をネタにして笑いにすることができたし、それがすごく面白かった。そういう人の滑稽さを伝える意味もあった」「今はできない」と言う。

 自身がブレークしたテレビシリーズ「フレンズ(Friends)」が放送されていた1990年代から、文化は様変わりしたと指摘する。

「『フレンズ』のエピソードを今見て、不快に思う世代や子どももいる」「狙ったわけじゃなかったし、もっと練って作るべきだったものもある。でも、今ほど神経質には作っていなかったと思う」と話した。

 近年ハリウッドでコメディー映画が激減しているのは、こうした問題が理由とみられる。アニストンはそれを悲劇だと嘆く。

「誰にでも笑いが必要! 世の中にはユーモアが必要! 少し肩の力を抜かないと。特に米国では、あまりにも分断が進んでいるから」

 一方のサンドラーは、コメディーをめぐるもう一つの大きな変化は予算だと話す。今のコメディーは、巨額の製作費を投じた大作映画やドラマ並みの見栄えを要求されるようになったと話す。

「コメディーで他に何が変わったと思う?」と、冗談めかして自分の服を指さした。

「しょっちゅうコメディーを作っていた頃は予算も限られていて、『その額でできることを何でもやって』と注文されたものだ」

「それが今や、格好良さを求められるようになった。その点に僕らは全力で取り組んでいる」と笑った。

『マーダー・ミステリー2』は、米動画配信大手ネットフリックス(Netflix)で2019年に配信されたヒット作の続編。サンドラー扮(ふん)する探偵とアニストン演じる妻が、大富豪の友人が誘拐された事件をめぐり、パリを訪れるストーリー。先月31日から配信されている。(c)AFP/Jordi ZAMORA