【3月31日 AFP】英俳優のヒュー・グラント(Hugh Grant、62)はロマンチックコメディー映画で一躍有名になったが、その設定には懐疑的だ。

「大いに疑問なのは、男女は結ばれるべきで、そういう関係を誰もが心から望んでいるという考え方は正しいのか、それとも真っ赤なうそなのか」

 新作のファンタジー映画『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り(Dungeons and Dragons: Honour Amongst Thieves)』のプロモーションで訪れた仏パリでの記者会見で、グラントは語った。

「私自身は、大うそなんじゃないかと思っている。そういう映画でキャリアを築き、一財産つくったわけだが」

「だって、本当に幸せな関係を続けているカップルを何組知ってる? 多くはない」とグラント。「私が出演したロマンチックコメディーの続編を今作ったら、とても面白いだろうね。離婚弁護士の登場から始まるんだ」

 いつものようにちゃめっ気たっぷりに辛辣(しんらつ)なコメントを繰り出したが、AFPによる別のインタビューでは、真剣な口調でこうも答えている。

「もっと自分に野心があればよかった」

「正直なところ、やる気が足りなかったと思う。ハリウッドで成功して人気があった頃なら、もっと頑張れたかも」「自分がやりたい映画も作れたかもしれない。でも、それよりはサッカー(の試合)を見たかった」

 1990年代に『フォー・ウェディング(Four Weddings and a Funeral)』や『ノッティングヒルの恋人(Notting Hill)』で世界的な人気を得たグラントだが、自身の名声についてはどこか矛盾した態度を取ってきた。

 今月のアカデミー賞(Academy Awards)授賞式のレッドカーペットでは、インタビュアーに対してスターらしからぬ素っ気ない態度を取り、気まずい空気を生んだのもそのためだ。

■「主役はギャラがいいけど大変」

 しかし近年は、『パディントン2(Paddington 2)』や『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』などでヒール役を生き生きと演じているように見える。

「卑劣な悪役の方が合っている」とグラントは笑った。

「年を取って不細工になって主役を演じられなくなってから、6、7年ぶりに楽しんでいる」「主役はギャラがいいけど、大変だ」と話した。

 ただし、悪役への転向を意識したわけではなく、突然チャンスが巡ってきたのだという。

「憧れるのは、1930~40年代のミステリアスな銀幕スター。素顔を人に知られず、本人について偽ることが俳優自身にも映画会社にも許されていた」と語った。

 ブレーク中の俳優へのアドバイスとして、「自分なら、謎めいた存在でいるためにインスタグラム(Instagram)のアカウントは持たない」と話した。

「でもこれは、世界中のほぼ全員にお勧めするね」 (c)AFP/Eric RANDOLPH