昨年12月30日、ソウル都心内の住居施設に設置された電気計量器の様子(c)news1
昨年12月30日、ソウル都心内の住居施設に設置された電気計量器の様子(c)news1

【03月26日 KOREA WAVE】「127.78ウォンvs32.4ウォン」(1ウォン=約0.1円)。2020年以降の電力卸売価格と小売価格の引き上げ幅だ。グローバル景気が新型コロナウイルス感染拡大の衝撃から回復したうえ、昨年2月のロシアによるウクライナ侵攻で、国際エネルギー価格が急騰。電力生産費用も上昇した。

一方、消費者価格は毎回小幅な上昇にとどまってきた。ムン・ジェイン(文在寅)前政権のポピュリズムエネルギー政策が、需要と供給、原価と消費者価格のような基本的な経済論理を押さえつけてきた結果が、昨年の33兆ウォンに達する韓電の「歴史的」赤字だ。

電力取引所と韓電などによると、昨年の統合SMP(系統限界価格)はkWh(キロワット時)当たり196.65ウォンだった。SMPは韓電が発電子会社と民間発電会社から電気を買い取る一種の卸売価格だ。2020年kWh当たり68.87ウォンだったSMPは、2021年94.34ウォンに値上がりし、昨年2倍以上急騰した。

◇原価節減による営業利益

電気料金は大きく基本料に▽電力量料金(基準燃料費含む)▽気候環境料金▽燃料調整単価の3項目を加えて策定される。

電力産業の主務省庁である産業通商資源省が韓電の意見を聞いて電気料金の調整を要請すると、物価当局である企画財政省の意見を反映し、決定される。だが、事実上、企画財政省が引き上げ凍結の権限を持つため、毎回、原価引き上げ分の反映がなされなかった。

韓国政府は新型コロナウイルスの感染拡大で、国内景気が鈍化し、自営業者や庶民の負担が増したことから、2020~2021年に電気料金の引き上げを凍結した。2020年は既に世界的な景気低迷で、国際エネルギー価格が下落した。韓電が2020年に4兆ウォン台の営業利益を出したのも、グローバルエネルギー価格の下落に伴う原価節減効果のおかげだった。

◇「暖房費爆弾を呼んだ」料金急騰

問題は2021年以降だ。電力卸売料金に最も直接的に影響を与えるLNG(液化天然ガス)の国内導入単価は、2021年下半期に本格的に上昇し、昨年9月、トン当たり1470.4ドルまで高騰した。しかし、韓国大統領選挙が実施された昨年3月まで、電気料金は凍結された。

政府は昨年4月と10月に2021年比kWh当たり9.8ウォン上がった基準燃料費を2回に分けて消費者価格に反映した。RPS(新再生エネルギー義務供給制度)とETS(炭素排出権取引制)施行に伴う気候環境料金の引き上げ分2ウォンは、同4月の料金から適用した。同10月には燃料費の上昇による電力量料金をkWh当たり2.5ウォン引き上げた。

燃料費調整単価の根拠である燃料費連動制は、有名無実化した状態だ。2021年に導入された燃料費連動制は、国際原油価格とLNG、石炭など電気生産用燃料費の価格が上がれば、消費者用電気料金を引き上げるようにした制度だ。前四半期比最大kWh当たり3ウォン、年間kWh当たり5ウォンまで燃料費調整単価を上げられるようにしたが、制度施行から昨年第2四半期までの6四半期間は「物価など経済状況を考慮する」という立場の下で、燃料費調整単価は引き上げが見送られた。

政府は昨年、韓電の30兆ウォン台の赤字が目前に迫ってから、ようやく電気料金を引き上げた。燃料費連動制による調整単価は年間最大限度を超え、第3四半期と第4四半期の2回にわたって5ウォンずつ計10ウォン引き上げ、年末には今年第1四半期から適用する電力量料金と気候環境料金を13.1ウォン引き上げた。

国際エネルギー価格の上昇によって順次反映しなければならなかった電気料金を一歩遅れて引き上げ、今年初めの燃料費の高騰「暖房費爆弾」とともに公共料金の負担を増大させた。

(つづく)

(c)MONEYTODAY/KOREA WAVE/AFPBB News