国会で開かれた企画財政委員会全体会議で資料を見るチュ・ギョンホ(秋慶鎬)経済副首相兼企画財政相(c)news1
国会で開かれた企画財政委員会全体会議で資料を見るチュ・ギョンホ(秋慶鎬)経済副首相兼企画財政相(c)news1

【03月26日 KOREA WAVE】韓国電力公社が2月24日に発表した2022年通期の連結決算は、約33兆ウォン(1ウォン=約0.1円)の赤字だった。ロシアによるウクライナ侵攻の長期化による国際エネルギー価格の上昇と、ムン・ジェイン(文在寅)前政権時の消費者価格抑制策で、販売価格が引き上げられなかったのが響いた。

韓国国内の電力を独占供給する公企業である韓電の大幅赤字の影響は、韓電だけにとどまらない。資本の食い込みを目前にした韓電はもちろん、実体景気と金融投資市場に広がる韓電の「赤字爆弾」波及力を点検した。

◇資本食い込み、秒読み

33兆ウォンの「赤字爆弾」がさく裂した。2021年以後、国際エネルギー価格が上昇する中、ポピュリズム政策で縛られた電気料金が、韓国電力公社を最大級の赤字に陥れた。

韓国政府と国会が昨年末、韓電の社債発行限度を拡大したものの、応急措置にとどまる見通しだ。今年、電気料金を正常化させ、需要減少と赤字縮小がなされなければ、韓電の資本食い込みも現実化せざるを得ない。

韓電と産業通商資源省、国会などによると、2021年度会計決算による韓電の資本金は3兆2000億ウォン、積立金は42兆7000億ウォンだ。韓電はこの資本金と積立金の合計によって韓電債を発行し、電力購入費などの資金を調達する。

◇危機的状況

韓電が同24日に出した数字を見ると危機的状況だ。連結基準売上高は71兆2719億ウォン、営業損失32兆6034億ウォンだ。韓電の積立金に反映される個別基準の純損失は25兆2542億ウォンで、これを反映した積立金残高は17兆4000億ウォン程度だ。韓電は今年1年間、資本金と積立金の合計20兆6000億ウォンを基準に、やりくりしなければならない。

韓国電力公社法により、現在、韓電の社債発行限度額は資本金と積立金の合計の2倍だ。今年3月に2022年会計決算が終わるまで、韓電の社債発行限度は91兆6000億ウォンである。

政府と国会は昨年末、韓電の30兆ウォン台の赤字が確実視され、韓電債の発行増加で限度を越えそうな状況に追い込まれると、債権発行限度を2倍から最大6倍に引き上げた。韓電の社債発行限度を資本金と積立金の5倍まで許容し、必要ならば産業相の承認の下で6倍まで増やせるようにした。

このため、今年の韓電の債券発行限度額は20兆6000億ウォンの5倍の103兆ウォンだ。現在、韓電の社債発行累積額は76兆1000億ウォンで、限度残高は26兆9000億ウォン。昨年、韓電が31兆8000億ウォン分の韓電債を発行した点を考慮すれば、新たな韓電法の適用初年度にも、債権発行限度枠がいっぱいになってしまう可能性がある。

◇暖房費高騰で民心悪化

今年1月から適用する電気料金がkWh(キロワット時)当たり13.1ウォン引き上げられたが、依然として売れば売るほど営業損失が出る赤字構造が、根本的な問題だ。

韓電が、発電子会社から買い入れる電気卸売料金であるSMP(系統限界価格)は、先月kWh当たり240.81ウォンだ。昨年の平均電力販売単価kWh当たり120.5ウォンに今年の引き上げ分を加えても電力小売価格はkWh当たり133~4ウォン余りだ。まだkWh当たり100ウォン程度の赤字要因がある。

韓電は昨年末、国会に提出した経営正常化案で、2026年までに累積赤字を解消するためには、2023年の年間電気料金をkWh当たり51.6ウォン引き上げるべきだと明らかにした。毎四半期ごとに電気料金を決め、料金引き上げによって電気使用量が減少する点、第3四半期以降は夏季需要急増による電気料金引き上げが難しい点などを考慮し、上半期中にできるだけ引き上げ幅を増やさなければならないという意見も盛り込んだ。

しかし、政府は昨年末、物価の上昇圧力と家計負担などを理由に、必要な引き上げ分の4分の1である13.1ウォンの引き上げを決めた。さらに今年初め、暖房費の高騰で民心まで悪化すると、ユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領は「公共料金の引き上げ幅と速度を調節せよ」と注文した。

ハン・ドクス(韓悳洙)首相とチュ・ギョンホ(秋慶鎬)副首相兼企画財政相もやはり、第2四半期(4~6月)以後の公共料金引き上げについて「国民の負担も考慮しなければならない」と、慎重な立場を取った。これは、韓電など公企業の大規模な負債を解消するために料金を正常化する必要性には共感しながらも、世論を意識した第2四半期の料金凍結の余地も残した発言だと受け止められている。

◇脆弱階層への支援拡大を

政府が公共料金の正常化にブレーキをかけ、今年は、韓電の資本食い込みの可能性も高くなった。金融情報業ワイズエフエヌが証券会社から集計した韓電の今年の営業利益コンセンサス(展望値)は、9兆2812億ウォンの赤字だ。これは、政府が当初の予想通り2回以上、昨年末の引き上げ幅より多く引き上げるという仮定の下で推算した値だ。

政府はkWh当たり13.1ウォンの電気料金引き上げ当時、韓電の財務改善効果を7兆ウォン余りだと見込んだ。韓電の純損失25兆ウォンがそのまま維持されるとすれば、今後の電気料金凍結時に18兆ウォンの損失が出るという話だ。国際エネルギー価格が依然として高止まりするなど、韓電の経営環境は厳しく、資本に食い込む可能性もあるという。

ソウル科学技術大エネルギー政策学科のユ・スンフン教授は「最近、日本や中国は天然ガスを買い入れており、中国の経済再開などでエネルギー需要が高まり、今年もエネルギー価格は上がる見通しだ。この状況で公共料金の引き上げ抑制基調を維持すれば、韓電は今年も昨年と似た水準の赤字を出すだろう」と危惧する。

そのうえで「欧州と日本は昨年、電気料金の大幅引き上げを通じて使用量を半分ほどに減らすことに成功した。ユン政権の国政課題通り、やはり料金を正常化し需要(減少)機能を回復する一方、脆弱階層に対する料金割引による支援拡大などの政策を展開しなければならない」と助言した。

(つづく)

(c)MONEYTODAY/KOREA WAVE/AFPBB News