【3月24日 AFP】投票の決め手は「珍味」だった──23日に発表された今年の「軟体動物オブ・ザ・イヤー(Mollusc of the Year)」に、チリの巻き貝「アワビモドキ」が輝いた。

 アワビモドキは原産地のチリやペルーで「ロコ」と呼ばれ、昔からごちそうとされてきた。シンプルにマヨネーズをかけたり、スープに入れたりして食されている。

 選考は、8万5000種の候補の中から5種類のファイナリストに絞った上で19日、一般投票が行われた。アワビモドキは全世界で42%の票を獲得し、堂々の1位に輝いた。

 2位はネオンカラーのサイケデリックなひだが印象的なウミウシ「コンシボリガイ」、3位は寿命500年という巨大なカキ「メトセラ」、4位は太い角を持つ「エムラミノウミウシ」だった。

 また陸上生物として唯一ファイナリストに入った5位の「マダラコウラナメクジ」は、ヒョウのような模様と、つがいが絡み合いながら木の枝からつり下がり、上下に動くという複雑な交尾の儀式が注目された。

 コンテストを主催するゲノム研究所「ロエベ・トランスレーショナル・バイオダイバーシティー・ゲノミクス・センター(LOEWE Centre for Translational Biodiversity Genomics)」は、優勝したアワビモドキの全ゲノム解読を計画している。

 アワビモドキが持つ可能性は、食用という枠をはるかに超えているという。海洋無脊椎動物が乱獲や汚染にどう対処しているのか分子レベルで解き明かされるほか、アワビモドキの血液に含まれる酸素運搬色素が持つ抗がん効果の発見などが期待される。

「軟体動物オブ・ザ・イヤー」コンテストは、深海の巨大イカから庭先のナメクジまで、多様な軟体動物に対する認識を高めるために毎年開催されている。これまでにタコの仲間の「アオイガイ」や、キューバ原産の貝「コダママイマイ」が王冠を手にしている。(c)AFP/Linnea Pedersen を追加