【3月21日 AFP】地球を周回する人工衛星の急増による光害が「自然に地球規模で前例のない脅威をもたらしている」と警鐘を鳴らす論文が20日、英科学誌ネイチャー・アストロノミー(Nature Astronomy)に掲載された。

 米宇宙開発企業スペースX(SpaceX)がインターネット通信衛星「スターリンク(Starlink)」の衛星群を初めて打ち上げた2019年以降、地球低軌道を回る衛星の数は倍増している。

 低軌道に衛星が新たに投入されると、地球を周回している物体に衝突し、宇宙ごみ(スペースデブリ)が発生する危険が高まる。衝突の連鎖反応でさらに細かい宇宙ごみが生まれ、地球に光を反射する宇宙ごみの雲はさらに拡大する。

 研究チームは、夜空が明るくなることで天文台の活動が被る影響を科学・財政面から調査した。このような調査は初めてだという。

 その結果、現在チリに建設中の「ベラ・ルービン天文台(Vera Rubin Observatory)」の場合、今後10年で夜空が7.5%明るくなり、観測可能な星の数も約7.5%減少することが分かった。論文共著者のジョン・バレンティン(John Barentine)氏によれば、年間損失額は約2180万ドル(約29億円)に相当する。

 バレンティン氏は、天体現象を観測できなくなる事態も発生し得るとしている。

 光害の増加は予想以上に深刻とみられる。

 今回発表された別の論文は、広範なシミュレーションモデルに基づき、現在の光害の測定値は実際よりはるかに低く示されていると指摘している。(c)AFP/Juliette Collen