【3月21日 AFP】ワールドアスレティックス(World Athletics、世界陸連)は、23日に予定されている連盟の意志決定会議において、トランスジェンダーの選手が女子大会に参加するための規則を強化する見通しとなった。また、ドーピング違反で資格停止となっているロシアについても処分が解除されるとみられる。

 五輪の主要競技である陸上は、トランスジェンダーの選手がエリート女子大会に出場するのを事実上禁止している水泳とは違ったアプローチを取ってきた。世界陸連は参加資格に関する規則の強化が「望ましい選択肢」だとしており、資格を満たす重要な条件として、テストステロン値の制限を用いている。

 トランスジェンダーや、女子800メートルで2度の金メダルに輝くキャスター・セメンヤ(Caster Semenya、南アフリカ)を代表とする「体の性のさまざまな発達状態(性分化疾患、DSD)」と分類される選手について、世界陸連はその両方を対象とする規則の改正が望ましい選択肢だとしている。

 世界陸連の提案は、トランスジェンダーとDSDの選手が女子カテゴリーの大会に出場するために、血中テストステロンの最大値を現在の1リットルにつき5ナノモルから2.5ナノモル以下に減らし、現行の1年間ではなく2年間この値を維持することとしている。

 一方、2024年パリ五輪に向けて世界のスポーツ団体がロシアの選手を復帰させる可能性について議論を行っている中、世界陸連もドーピング問題をめぐる同国への処分を解除することを提案する見通しとなっている。

 しかしながら、2022年2月のウクライナ侵攻以降、ロシアとベラルーシの陸上選手は競技への参加を「当面の間」禁止されており、中立の立場での出場を含め、ドーピング違反に対する処分解除が即時に影響を及ぼすことはないとみられている。

 パリ五輪開幕まで約1年4か月となる中、ロシア選手の競技復帰の可能性に関する世界陸連の見解は、今後より厳しい視線が向けられることになるだろう。(c)AFP/Luke PHILLIPS