【3月20日 CGTN Japanese】硬貨と同サイズのグラフェン製の板を喉の外部に貼りつけるだけで、発声障がい者が再び声を出せるようになります。中国の名門大学である清華大学の研究チームがこのほど、着脱可能な人工喉の開発に成功しました。喉から出される発声関連の信号を読み取り、人工知能(AI)によってデータを解析し、声に再生する装置です。正確度は90%を超えるとのことです。この研究結果は国際的な科学誌「ネイチャー」系の「ネイチャー・マシン・インテリジェンス」(電子版)に掲載されました。

 この人工喉は低周波の筋肉の運動、中周波の食道の振動、および高周波の音波に非常に敏感で、60デシベルを超える騒音環境の中でも識別能力が落ちない極めて強い音声感知能力を備えています。また、熱を加えることで音声が発生する「熱音響効果」を活用して、音声の再生を実現しています。研究チームはAIモデルを利用して、音声を構成する音素やイントネーション、単語などに対する高精度識別、および喉頭がん患者のかすれた声に対する識別と再生を実現し、発声障がい者の意思疎通のために新たな解決方法を提供しました。

 研究チームの責任者は人工喉について、「まだ改善の余地は大きい。音声の質と音量の向上や、音声に多様性や表情を添えること、他の生体信号や環境情報を融合し、より自然でよりスマート化された音声対話の実現などだ」と説明し、より一層の研究と協力を通じて発声障がい者に幸せをもたらしたいとの考えを示しました。(c)CGTN Japanese/AFPBB News