【3月19日 AFP】ミャンマー・ヤンゴンの異臭を放つ川に、ユさん(36)はポリスチレン製の簡易ボートを浮かべた。川に漂うプラスチックごみや空き缶を集めるためだ。

 パズンダウン(Pazundaung)川に明け方、10人ほどの「川の掃除隊」が集まった。川で再生利用可能なものを集めて、業者に売る。これが、2021年のクーデター後に失業した掃除隊メンバーの唯一の収入源になっている。

 ユさんは家族を養うためにこの仕事を始めた。「近所の人と一緒に川に来た。初日にプラスチックや缶を収集して換金できて、とてもうれしかった」と語る。

 国際労働機関(ILO)によると、クーデターにより国内経済は打撃を受け、100万人以上が失業した。

 メンバーの一人(41)は、ヤンゴンの屋台で野菜や魚を販売していた。職を失って、川の掃除隊に加わった。大工の夫も定職はない。「親や家族にはここに来ていることを話さなかったが、見つかってしまった。家族のためにやっていると説明しなければならなかった」とAFPに語った。

 1日の稼ぎは10ドル(約1300円)までいくこともあるが、大体は3ドル(約400円)ほどだ。

 住民によるとクーデター後、犯罪が増えている。川で働いていると、治安の悪化を実感することもある。

 ユさんは、仕事中に水面に浮かぶ死体をよく目にする。「簡単な仕事ではない…でも大事なのは子どもが飢えないことだ」

 映像は1月14日撮影。(c)AFP