【3月17日 AFP】フランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)政権は16日、年金改革法案について、議会での投票をへずに法案を通過させる憲法の特例規定を適用し、強行採択した。

 今回の強権発動は、下院で過半数の支持を見込めないことを政権が認めたに等しい。上院は16日、賛成多数で法案を可決したが、下院では右派の野党議員が反対を示唆したため、政権が否決のリスクを回避した。

 受給開始年齢を現行の62歳から64歳に引き上げることを柱とした年金改革案をめぐっては、反対デモやストライキが相次いでいた。採択を受け、パリなど各地で大規模デモが起こった。

 パリ中心部コンコルド広場(Place de la Concorde)にある下院の議事堂前では、集まった群集を機動隊が取り囲んでいた。

 怒りを示すため来たという教師(55)は「憤慨している。市民としてだまされた気分だ」と訴え、「投票で決めるのが民主主義国家なのに」と批判した。

 午後8時頃、広場の中央で炎が上がると機動隊が催涙ガスと放水砲を使ってデモ隊を排除した。パリ警視庁によると、器物損壊容疑などで約120人が拘束された。

 AFP特派員によると南部マルセイユ(Marseille)では抗議デモ中に複数の店舗が略奪された。西部ナント(Nantes)、レンヌ(Rennes)、南東部リヨン(Lyon)でもデモ隊と治安部隊の衝突が発生した。(c)Adam PLOWRIGHT, Anne RENAUT and Baptiste PACE