【3月16日 People’s Daily】中国西部の甘粛省(Gansu)敦煌市(Dunhuang)にある莫高窟などの仏教遺跡が、デジタル技術によって新たな姿を見せている。

 莫高窟の前で、拡張現実(AR)技術で生成された霊獣・九色鹿がのんびりと散歩している。観光客が手を伸ばして鹿の頭をなでる姿を、敦煌研究所の解説員・張瑞芝(Zhang Ruizhi)さんがスマートフォンで撮影する。張さんは「観光客はスマホのSNS・微信(Wechat)に画像を保存して、いつでも見ることができます」と説明する。

 敦煌研究所文化財デジタル化研究所の兪天秀(Yu Tianxiu)所長は「『デジタル敦煌』プロジェクトでバーチャルとリアルの融合技術を組み合わせ、『洞窟の外で洞窟の中を見る』という新たな試みが実現しています」と解説する。

 8K技術で洞窟芸術を紹介する20分間のショートムービー「夢幻仏宮」や莫高窟の歴史を伝える「千年莫高」は、「デジタル敦煌」の代表的作品だ。また、仮想現実(VR)ゴーグルを着用すると実物大の3D洞窟が現れ、30か所の洞窟を超高解像度パノラマで閲覧できる。敦煌研究所は2022 年末までに289か所の洞窟でデジタル画像を収集しており、さらなる学術研究や多目的利用が期待できる。

 敦煌研究所は、莫高窟の公式バーチャルキャラクター「伽瑶」も誕生させた。莫高窟の壁画「迦陵頻伽」をモチーフにしたかわいいキャラが、洞窟壁画の説明やバーチャルライブ放送、ダンスパフォーマンスなどを行い、国内外に敦煌文化の魅力を伝えている。

 昨年末には世界で初めてブロックチェーン技術を活用したプラットフォーム「デジタル敦煌オープン素材ライブラリー」を開始。莫高窟やその他の洞窟遺跡などから21種類の壁画と6500点のデジタルデータを公開した。高解像度デジタルのアーカイブが世界中に公開され、学者や文化愛好家、芸術関係者のための共有プラットフォームとなっている。(c)People’s Daily/AFPBB News