【3月16日 People’s Daily】渤海湾の西岸、中国河北省(Hebei)滄州市(Canzhou)の黄驊港に、石炭の産地・山西省(Shanxi)から貨物列車が次々と到着する。そしてカーダンパー棟で大量の石炭が台車から降ろされる。

 カーダンパー棟で10年間勤務する周潤生(Zhou Runsheng)さんは「カーダンパー棟はかつて港の『汚染源』でした。石炭を貨物から降ろすたびに粉が舞い上がり、白いシャツがあっという間に灰色になりました」

 現在は新技術により、マイクロレベルのミスト水を噴霧して石炭の粉じんが舞い上がるのを防いでいる。周さんは「カーダンパー棟では年間1億トン以上の石炭を降ろすことができますが、常に清潔に保たれています」と笑顔を浮かべる。

 黄驊港は中国の石炭輸送において重要な港であり、石炭取扱量は 4年連続で全国第1位を誇る。粉じん汚染は港にとって深刻な問題だったが、カーダンパーへの的確な散水、ベルトコンベヤーのクリーニング、貯蔵庫への水補充など、全工程で粉じんを抑制するスマートシステムを構築した。

 環境に優しい港になるため、黄驊港では節水にも力を注いでいる。港湾管理会社の生産担当者・懐全(Huai Quan)さんは「黄驊港の石炭エリアでは毎年約370万立方メートルの水を必要としており、さまざまなテクノロジーで水を確保しています」と説明する。

 入港する貨物船は、船体の安定のため大量のバラスト水を搭載している。黄驊港では貨物船の出水口に接続するパイプラインを作り、バラスト水を抽出。年間110万~150万立方メートルの水を手に入れている。また、港に降る雨水を貯蔵して年間40万立方メートルの水を確保している。

 さらに石炭の積み降ろし作業で使われた汚水を先端技術で再処理。年間205万立方メートルの処理能力がある。きれいな水を確保できるだけでなく、沈殿したスライム状の石炭を練炭に加工して販売することもでき、年間900万元(約1億7523万円)の収入を生み出している。

 黄驊港は緑と花が彩り、海で多くの魚が泳ぎ、青空を鳥が舞う「海辺の庭園」に姿を変えた。港湾管理会社の環境部門担当者・董伝博(Dong Chuanbo)さんは「今後は太陽光発電システムやエネルギー貯蔵システム、水素生産などを最適な形で導入し、黄驊港をさらに環境に優しい港にアップグレードしていく」と語る。(c)People’s Daily/AFPBB News