【3月16日 Xinhua News】中国本土で最大の輸出規模を誇る広東省(Guangdong)深圳市(Shenzhen)は年明けから、海外での展示会に企業代表団を積極的に送り込み、越境電子商取引(EC)など新たな業態やビジネスモデルを開拓しているほか、「海陸空」の物流ルートを増やすなど、貿易の新たな局面を切り開くための取り組みに力を入れている。

 先月24日、富士フイルムの「デジタルファクトリー」が深圳市竜華区で着工した。1995年に深圳進出を果たした同社にとって最新の投資プロジェクトで、1月に同区が日本に派遣した企業代表団が誘致した成果とも言える。年内の稼働を目指し、年間生産額は数億元(1元=約20円)に上る見込みだ。

 米ラスベガスで1月に開かれた家電IT見本市「CES」には、市内の企業180社以上が最新のテクノロジー製品を携えて参加し、海外から多くの受注を獲得した。2月には福田、坪山、光明など各区の代表団がそれぞれ欧州各国を訪れ、交流や商談を実施。ハイテク産業やデジタル経済、先端製造業など各分野で複数の協力協定を結んだ。

 このほか、多くの企業が製品の輸出にとどまらず、積極的に海外に進出して生産拠点を設け、世界シェアを拡大している。

 ここ数年、国際貿易モデルは著しく転換しており、オンライン取引や少額貿易、短い取引経路などの優位性を持つ越境ECは、深圳の貿易新業態の「金看板」となっている。越境EC産業の年間生産額は5千億元を超える。

 先月24日には深圳とベルギー・リエージュを結ぶ航空貨物路線が就航。今年、深圳の空港で就航した3本目の国際貨物路線で、越境EC専用の路線となる。

 海運面では、塩田港区が今年に入ってからアジア向け3本、オーストラリア向け1本の計4路線を新設。塩田国際コンテナターミナルの関係責任者によると、同社の2月のはしけ輸送貨物量は、同月の過去最高を更新した。

 深圳は「地域的な包括的経済連携(RCEP)協定」や中国と欧州を結ぶ国際定期貨物列車「中欧班列」など、国際的な貿易協定やルートを活用して、新興市場の開拓を強化している。昨年のRCEP協定加盟国と「一帯一路」沿線諸国との貿易額はそれぞれ前年比7・8%増の1兆100億元、15・1%増の8930億1千万元に上り、市全体の貿易額を3・9ポイント押し上げた。

 昨年の深圳の貿易額は3・7%増の3兆6700億元で、過去最高を更新した。うち輸出が13・9%増の2兆1900億元だった。(c)Xinhua News/AFPBB News