【3月15日 People’s Daily】湿地面積の減少と生態系の機能低下は、世界が共通して直面している課題だ。中国は1992年に「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約(ラムサール条約)」に加盟して以来、立法措置や科学研究、国際協力を通じて湿地の保全に努めてきた。

 中国の湿地保全対策は、基盤固め、応急保護、総合的保護の 3 段階を経てきた。これまでに4100件以上の湿地保護・回復プロジェクトを実行し、世界で初めて3回にわたり全国湿地資源調査を完了している。

 中国各地の湿地保全は目覚ましい成果を挙げている。全国の湿地面積は5635 万ヘクタールに達し、アジアで 1 位、世界で 4 位にランクされている。国際的に重要な湿地として64か所が指定されたほか、国際湿地都市に認定された数は世界最多の13都市を誇る。中国全土では2200か所の湿地自然保護区があり、1100 万ヘクタールの湿地を国立公園制度に組み込む計画。湿地公園の整備は生態系の保護とともにエコツーリズムや環境教育にも生かされ、自然・社会・経済に一体的利益をもたらしている。

 中国の湿地に生息する野鳥は大幅に増加している。河南省(Henan)鄭州市(Zhengzhou)の黄河湿地は、中国における渡り鳥の 3大ルートの中央に位置している。長年にわたる湿地の環境改善により、野鳥の種類は2006年の169種から283種にまで増加した。

 海南省(Hainan)で越冬する水鳥を調査したところ、今年は201羽のクロツラヘラサギが記録され、2003年の調査開始以降で最多となった。昨年から今年にかけて河北省(Hebei)の衡水湖国家自然保護区で行われた調査では、60種で6万4000 羽以上の水鳥が確認された。ラムサール条約を積極的に順守し、湿地を保護する過程で、中国は「人と自然の調和」「万物の共生」という中国伝統の理念を実現してきた。

 国家林業草原局と自然資源省は昨年10月、「全国湿地保護計画 (2022~2030)」を発表した。2025年までに全国の湿地保護区を全体的に安定させ、湿地保全率を引き上げることを目標にしている。そして2030年までに、生態系の機能と生物多様性を大幅に改善する湿地保護策を確立するとしている。中国は今後も「グリーン(エコロジー)な開発」を目指し、世界の湿地保護を推進する役割を担っていく。(c)People’s Daily/AFPBB News