【3月14日 AFP】イタリアのグイド・クロセット(Guido Crosetto)国防相は13日、ロシアの民間軍事会社ワグネル(Wagner)がウクライナを支援する西側諸国への反撃手段として、欧州への不法移民流入をあおっていると非難した。

 クロセット氏は報道発表文で「アフリカ北部の地中海沿岸からの移民が急増していることについては、アフリカの一部の国で強い影響力を行使しているワグネルのハイブリッド戦略の一環であるのは明らかだ」と主張。

「欧州連合(EU)や北大西洋条約機構(NATO)、西側諸国は、サイバー攻撃がウクライナ戦争をきっかけとした世界的対立の一部を成しているのと同様に、(アフリカからの玄関口となる)欧州南部の危険度が日々増していることについても認識すべきだ」と述べた。

 さらに「無秩序に流入し続ける移民は、イタリアをはじめとする当事国と、その戦略地政学的な立場を狙った手段になりつつある」と警告した。

 アントニオ・タヤーニ(Antonio Tajani)外相もこの日、訪問先のイスラエルで「多くの移民がワグネルの支配地域からやって来る」ことを懸念していると語った。

 イタリア内務省の集計によると、今年これまでに同国に上陸した移民は2万人を超え、一昨年と昨年同時期の約6000人を大幅に上回っている。

 大半がアフリカ北部から定員オーバーのボートで渡航を試みている。途中で命を落とす移民も多い。イタリアの沿岸警備隊によれば、12日にもリビア沖で30人が行方不明になった。

 ワグネルは、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領の盟友とされる実業家エフゲニー・プリゴジン(Yevgeny Prigozhin)氏が経営。ウクライナ侵攻に参加している他、近年は中央アフリカとマリでも活動している。(c)AFP