【3月14日 Xinhua News】中国の山西省(Shanxi)考古研究院は、同省運城市(Yuncheng)稷山県(Jishan)東渠村の北で夏王朝後期の遺跡「東渠遺跡」を発見したと発表した。臨汾盆地西部の夏文化研究の空白を埋める発見となった。

 遺跡は汾河(ふんが)の下流に位置し、試掘調査で判明した面積は約10万~15万平方メートル。稷山県体育場などの建設に合わせ、同研究院と運城市文物保護センター、運城市考古学チーム、稷山県文物保護センターが、2021年4~8月と22年10~11月の2回にわたり発掘調査を実施した。

 21年の調査では主に土器窯と灰坑を発見。うち、陶窯は2カ所で窯室と窯床、火室、作業場からなる小型の竪穴窯だった。灰坑は43カ所見つかり、配置は分散していた。主に東西方向に不規則な楕円形をしており、多くは開口部が大きく、底が小さい形状だった。

 22年には大型の灰溝と洞穴式住居「窰洞(ヤオトン)」が見つかった。灰溝は東西に不規則な楕円形をしており、長さは東西約23・5メートル、幅は南北約7メートル。地勢は西高東低で、深さは2~4メートルだった。窰洞式住居跡は灰溝の西側に位置し、灰溝と住居跡が一つの小さな「地下式」窰洞建築を構成していた。

 発掘プロジェクトの責任者を務めた山西省考古研究院華夏文明研究所の崔俊俊(Cui Junjun)副所長によると、遺跡の出土遺物には土器や石器、骨器、玉器、蚌器(大型の貝殻から作られた道具)、玉鉞(ぎょくえつ)1点、欠損した銅刀1点などが含まれる。人工物のほか、動植物遺物も多く見つかり、浮選法による調査では炭化した植物種子25万粒が確認できた。アワやキビ、コメ、大豆なども含まれていたが、大半はアワだった。作物以外ではエノコログサやオニメヒシバ、ヤマハギ、セイヨウエビラハギなどの種子も含まれていた。動物の骨も多く出土し、暫定的な鑑定でウシやブタ、ヒツジなどが特定された。これらの新発見は、東渠の先住民たちが比較的高度な農業生産技術をすでに習得し、アワ栽培を中心に牧畜も営む混合農業生産体系を形成していたことを示している。

 崔氏は「出土遺物から東渠遺跡の年代は夏王朝後期と推定される。臨汾盆地西部の夏文化研究の空白を埋め、山西省南部の夏商(殷)時代の文化構造に対する理解を深めるための新たな材料になる」と語った。(c)Xinhua News/AFPBB News