【3月13日 AFP】米カリフォルニア州ハリウッドで12日、第95回アカデミー賞(Academy Awards)授賞式が行われ、世界中で大ヒットしているシュールなSF映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(Everything Everywhere All at Once)』が作品賞を含む7冠に輝いた。

 香港のアクション映画界でキャリアをスタートしたマレーシア人のミシェル・ヨー(Michelle Yeoh、60)は、同作でアジア人として初の主演女優賞を受賞。

「ありがとう。これは歴史的な瞬間です」「女性の皆さん、年を取って旬を過ぎているなんて誰にも言わせないで」と呼び掛けた。

『ハムナプトラ/失われた砂漠の都(The Mummy)』など1990年代後半のアクション映画でスターになった後、表舞台から姿を消していたブレンダン・フレイザー(Brendan Fraser、54)は、『ザ・ホエール(The Whale)』で極度な肥満症の教師役を演じて復活し、主演男優賞を受賞した。

 受賞スピーチでは、「30年前にこの仕事を始めたが、物事は簡単にはいかなかった」とした上で、「クリエーティブな命綱を投げて『ザ・ホエール』という素晴らしい船に乗せてくれた」とダーレン・アロノフスキー(Darren Aronofsky)監督に謝辞を述べた。

 助演男優賞を受賞したのは、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』で見事なカムバックを果たしたベトナム出身のキー・ホイ・クァン(Ke Huy Quan、51)。80年代に『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説(Indiana Jones and the Temple of Doom)』や『グーニーズ(The Goonies)』で子役として活躍した後、俳優としては不遇の時代を過ごした。

「ママ、オスカーを取ったよ!」と涙ながらにスピーチし、「私の旅はボートの上から始まった。難民キャンプで1年を過ごし、そしてついに、このハリウッドの大舞台に立てた。これぞ、アメリカンドリームだ!」と喜びを爆発させた。

 同じく同作で助演女優賞を受賞したジェイミー・リー・カーティス(Jamie Lee Curtis、65)は、アカデミー賞にいずれもノミネートされながら一度も受賞せずに他界した両親のトニー・カーティス(Tony Curtis)とジャネット・リー(Janet Leigh)に向けて喜びを表した。

 ダニエル・クワン(Daniel Kwan)監督とダニエル・シャイナート(Daniel Scheinert)監督は同作でアジア系俳優を多数起用し、監督賞も受賞。

 クワン監督は「移民の両親」に、そしてシャイナート監督は子どもの頃にドラァグクイーンの格好をしても「私の創造性を壊すことがなかった」として母親に感謝の言葉を述べた。