■「臭う通り」

 立ち小便の問題は、ナイトライフが充実している世界の都市にはつきものだが、地元住民は、ソーホーの問題は特にひどいと感じている。

 ソーホー在住で、この地区の住民やビジネスの代表団体に所属するティム・ロードさんによると、600平方メートルほどのエリアに酒類の販売が許可された店舗が400以上ひしめき合っていて、そのうちの約4分の1が深夜まで営業している。

 しかし、エリア内の公衆トイレの数は減る一方だ。ソーホーに残る地下トイレ2か所は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)の影響で閉鎖され、現在も再開されていない。うち一つは、売却されてバーか新規事業に使われるのではないかといううわさもある。

 ロードさんは「夜通しで飲む人が数えきれないほどいる。トイレが使えなくなってしまい、夏は特に臭う」と話す。

「この立ち小便対策で効果が出れば、臭いの問題は軽減される。うまくいくことを願う」

 ウェストミンスターでは、ソーホーが最も混雑する木曜日から日曜日にかけて、エリア内に仮設トイレを設置しているが、区議会は立ち小便に対する罰金を現在の50~80ポンド(約8000円~1万3000円)からさらに引き上げることも検討している。

 ソーホーで公衆トイレが減り続けていることについてロードさんは、ナイトライフが盛んな街であるということを考えると、これは「非常に奇妙」で、再考を要する「英国らしい問題」と指摘する。「欧州や北米では、清潔できちんと管理された公衆トイレを見つけるのはそう難しくない」

「ソーホーは1650年代からある。ロンドンの歴史にとって非常に重要な地区で、保全の対象となっている」とロードさん。

「ここは暮らしやすく素晴らしいので、清潔であってほしい。区議会がしっかり対応してくれることを祈るばかりだ」 (c)AFP/Joe JACKSON