【3月9日 AFP】イラン各地の学校で11月下旬以降、女子生徒5000人以上が中毒症状を訴えている事件で、当局は7日、初めて容疑者を逮捕したと発表した。

 イラン内務省によると六つの州で、有害物質の製造が疑われる容疑者が多数拘束された。

 一連の毒物混入事件では、校内で「不快な」臭いがするとの報告があり、生徒は息切れ、吐き気、めまいなどの症状を呈した。

 議会調査委員会のメンバーがイラン学生通信(ISNA)に語ったところによると、これまでに全国31州のうち25州で約230校が被害を受け、女子生徒を中心に5000人以上が中毒症状を訴えた。今のところ、使用された毒物に関する具体的な情報は明らかになっていない。

 容疑者の1人は生徒の親で、自分の子どもに「刺激物」を持ち込ませ、中毒を起こした生徒らを動画で撮影させて「敵対的メディア」に送付したという。「恐怖を生み出し、学校を閉鎖させる」のが目的だったとされる。

 また別の3人の容疑者は「最近の暴動への関与を含む」前科があるという。イラン当局がいう「最近の暴動」とは、服装規定違反の疑いで逮捕されたクルド系女性マフサ・アミニ(Mahsa Amini)さん(22)が道徳警察の拘束下で死亡した問題をきっかけに起きた抗議デモを指す。

 学校での中毒事件はこの抗議行動の約1か月後、首都テヘラン南方の聖都コム(Qom)の複数の学校で女子生徒を標的に起きた。

 最新の事件では、南東部シスタン・バルチスタン(Sistan-Baluchestan)州ザヘダン(Zahedan)で、女子生徒40人が被害に遭っている。

 イブラヒム・ライシ(Ebrahim Raisi)大統領は先週、毒物事件は国民の間に「恐怖と絶望を作り出す敵の陰謀」だと主張し、内務省と情報省に最新情報の継続的な報告を命じた。

 内務省によると、病院に搬送された生徒のうち5%弱で刺激物が検出された。

 保健省次官のサイード・カリミ(Saeed Karimi)氏は症状として「呼吸器障害、胃痛、衰弱、倦怠(けんたい)感」などを挙げている。「吸い込んだ刺激物は必ずしも気体ではなく、粉末やペースト、あるいは液体の可能性もある。ヒーターの上に注いだり、加熱して(水分を)蒸発させたりすると合併症を引き起こす可能性がある」という。

 法関連サイトによると、テヘランの検察官アリ・サレヒ(Ali Salehi)氏は、毒物混入事件に関し「うそやうわさを広める者」もいるとし、「断固法的に対処する」と警告した。(c)AFP/Payam Doost Mohamadi