【3月11日 People’s Daily】屋根に雪が積もり、家々の戸口には赤い灯籠が下げられている。中国山西省(Shanxi)晋城市(Jincheng)陵川県(Lingchuan)丈河村で、住民の王川(Wang Chuan)さんは忙しく春節の準備をしていた。「沢山のお客さんが何年も、みんなこの古い建物で年越しをし、正月料理を囲みに来てくれるのです。準備したお肉がなくなってしまいましたから、もう少し街へ買いに行きます」

 古くは商業交通の要であった丈河村には、中国北方地域の伝統的な特徴や民俗が沢山残っている。この強みを活かし、丈河村では近年観光業に力を入れている。王川さんは元々料理人で、3年前に家族とともに村に帰り、古民家である自宅を特色ある民宿にリフォームした。客足は途絶えず、もう出稼ぎに出なくてもよくなったという。

 丈河村の発展は近年の中国における、投資・改革の縮図である。出稼ぎに行った村民が次々と故郷に帰ってきており、2025年には丈河村の平均年収は3万元(約60万円)以上になる見込みだ。目下、中国の農村人口は5億1000万人で、総人口の36.11%を占めている。農村部は収入が低く、農民を裕福にすることは重要な課題である。

 浙江省(Zhejiang)温州市(Wenzhou)では、「街角の書斎」が人気を博している。街角の書斎は市民に無料かつ平等、バリアフリーな図書閲覧サービスを提供しており、「精神的な豊かさの共有」の実践と言える。2014年に最初の「街角の書斎」が開かれて以来、現在までに136か所の書斎が造られた。総面積は3万4800平方メートルを超え、蔵書総数は142万7000冊、累計利用者はのべ1506万2800人、流通した本はのべ1480万1300冊にのぼる。

「伝統的な図書館や本屋さんと違って、街角の書斎は暖かくてきれいで、快適で、家にいるような感じがします」と、温州市の南塘街にある「街角の書斎」で勉強をしていた学生は言う。「最初は雨宿りに入っただけだったのですが、今ではすっかりファンです」。

 中国はすでに世界第2の経済圏である。2022年、中国のGDPは120兆元(約2400兆円)を突破したが、中国人の1人あたりGDPは1万2700ドル(約172万円)にすぎない。取り残される者なく物質的にも精神的にも「みんなで豊かになる」努力を推し進めていくことこそ、中国式の現代化を実現する鍵であり、中国の進むべき方向性である。

 現代化を続ける中国は、国際協力にさらなるエネルギーを注ぎ、全人類の進歩により大きく貢献することを目指す。

 今年は「一帯一路(Belt and Road)」の提唱から10年の節目である。中国は累計151の国と協力体制を結び、2022年末までに中国企業が「一帯一路」参加国の「域外貿易協業エリア」に投資した額は累計3979億元(約7兆7990億円)に達し、現地で42万1000人の雇用を生み出した。世界銀行の研究報告によれば、2030年には、「一帯一路」の関係国で760万人が極度の貧困を脱し、3200万人が中程度の貧困から脱するだろうという。(c)People’s Daily/AFPBB News