【3月8日 Xinhua News】中国重慶市(Chongqing)両江新区で2022年末、深宇宙観測レーダー「中国複眼」プロジェクト第1期が正式にスタートした。恐竜はなぜ絶滅したのか。地球上の生命はどこから来たのか。小惑星の飛跡が持つ秘密とは。「中国複眼」が、その答えを教えてくれるかもしれない。

 同プロジェクト第1期では、分散型レーダーシステムを使って深宇宙探査を行い、中国で初となる月面クレーターの地上設置レーダー三次元画像を撮影した。将来的には、数億キロ離れた小惑星や地球型惑星の観測を計画しており、人類の深宇宙観測の限界を広げ、地球近傍小惑星の衝突防衛や地球と月の状況認識などの科学研究に関する中国国内のニーズに応えていく。

「中国複眼」は学名を「大規模分布口径レーダー高解像度深宇宙域能動的観測施設」という。北京理工大学重慶イノベーションセンターの向寅(Xiang Yin)副研究員 は「地球の重力の影響により、口径数百メートルの全方向可動式システムを構築することはかなり難しい。物理的にほぼ実現不可能な大型レーダーを比較的小型のレーダーに分割し、それぞれの小型レーダーを柔軟に回転させることで、プラスマイナス75度の宇宙空間走査を実現し、広角レンズによる観測に近い効果を得られた」と述べた。

「中国複眼」は、自ら電磁波を発し、小惑星を検知し、自ら発した電磁波の反射波を受信することができる。向氏は「地球近傍小惑星や地球型惑星は、能動的な照射によって検知し、探査対象からの反射によって得られた情報を取得する必要がある」と説明した。

「中国複眼」は、現在世界で建設が計画されている中で最大の探査距離を持つレーダーで、探査範囲は1億5千万キロに及ぶ見込み。地球近傍小惑星や宇宙船、月、金星や火星など地球型惑星、および木星の衛星など深宇宙の探査対象を高解像度で観測し、地球近傍小惑星からの防衛や宇宙状況認識などの国家的に重要なニーズを満たすとともに、地球の居住可能性や惑星形成などの最先端の科学技術研究やイノベーション研究に使用される。

 国家航天局は22年4月、地球近傍小惑星衝突の脅威に共同で対処するため、地球近傍小惑星防御システムの構築に着手すると発表した。「中国複眼」は、この小惑星防御システムの重要な構成要素の一部となる。(c)Xinhua News/AFPBB News