【3月8日 People’s Daily】北京翠湖スマート農業「植物工場」では、外は寒い冬でも、施設内は春のような暖かさだ。環境デジタル管理、水肥一体化操作、全天候型の野菜生産など、39種類の大粒トマトやミニトマトが生い茂っている。10万平方メートルの面積に厳格に作物を栽培しているこの場所は、科学技術に満ちた「トマトの森林」と呼ばれている。収穫期に入ると、ここで生産される新鮮なトマトは市場で好評を博し、労働者たちは豊作の喜びに満ち溢れる。

 植物工場は、設備内の高精度環境制御により、光照、温度、栄養などの要素を植物の生育に適したものにし、1年を通じての効率的な農業生産を可能にする工場のようなものだ。中国の植物工場は、始まりは遅かったものの、重要な技術開発や産業化の推進により、急速に発展した。現在、商業的な植物工場は250以上あり、その名に恥じない植物工場の大国となっている。また、中国は植物工場の省エネ技術などで先進的な水準にあり、LED省エネ光源の開発、省エネ環境制御、栄養液栽培、スマート制御などの技術の普及により、植物工場の急速な発展に堅固な基盤を築いている。

 植物工場は、バイオテクノロジー、エンジニアリング技術、システム管理を融合させることにより、多方面での利点と効果をもたらしている。土壌も日光も不要で、どの場所でも食料生産が可能であり、四季を通じて「食べたいものは何でもある」という状況を実現できる。また、スマート調節により、作物の育成期間を大幅に短縮し、収量を倍増させることができる。土壌無しで食料を栽培するため、高度に清潔で、汚染の心配もない。植物工場は、都市農業の機能の拡大が可能なだけでなく、荒野、砂漠、塩アルカリ地などの非耕地にも建設可能で、中国の農業資源の制約への対処に役立ち、農業生産性と農民収入の向上に大きく貢献することができる。

 中国は人口が多く、水資源が少なく、1人あたりの耕地面積と淡水資源はそれぞれ世界平均の1/3、1/4に過ぎない。したがって、資源を節約し、資源利用率を高める必要がある。中国の農業産業化レベルが高まるにつれ、第1次、第2次、第3次産業の融合度合いが高まり、新しい農業生産モデルが次々と登場し、農業生産の季節性が変化し、農業生産の時空的分布が拡大している。植物工場は、高度に集積された現代施設農業によるもので、従来の野外農業に比べ、施設農業は天候に左右されず、災害に強く、現代的な設備や技術を利用して、適切な環境を提供することで、資源の効率的な利用を実現することが可能だ。これは、資源を節約し、環境に優しい農業を実践するための重要な手段だという。(c)People’s Daily/AFPBB News