【3月7日 Xinhua News】中国湖北省(Hubei)武漢市(Wuhan)に住む島田孝治さん(75)は現在、厳しい調理基準を持って「頂屋咖喱」という日本風カレー店を経営している。若い頃、バックパッカーとして世界中の多くの都市を旅した島田さんは、13年前に同市に滞在したことをきっかけに放浪をやめることを決意した。今では地元の若者たちから親しみを込めて「島爺爺(島じいちゃん)」と呼ばれている。

 中国に渡る以前、島田さんは福岡県の法律事務所で30年以上働いた。在職中に武漢出身の留学生と知り合い、彼らの世話をするうちに、同市が世界で最も大学生の多い都市の一つであることを知り、憧れを抱くようになった。武漢で開いたカレー店は順調に軌道に乗り、安くて本格的なメニューは多くの大学生や市民、観光客の間で評判になった。日本語を教えてほしいと頼む学生が増えると、店内で無料の日本語教室も開いた。熱心な読書家であるとともに、武漢や中国について多くのことを記録している島田さんは、自身は質素な生活を送りながら地元の学校に惜しみなく寄付を行っている。島田さんは武漢に住んでみて「本で読むだけの世界より、実感として感じられます。中国を両方で知ることができるので、本当に良かった」と感じている。

 2020年9月には念願がかなって、中国の外国人永久居留証を手にした。島田さんはうれしそうに、「中国人は心が大きい、武漢で無料の日本語学校を開いたからかもしれない。自分はラッキーだね」と振り返り、「これで今後も安心して中国に居られる。優しい心を皆に伝えること、みんなが助け合うことが最も重要だ」と笑顔を見せた。(c)Xinhua News/AFPBB News