公海保全目指す新協定で合意 国連
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【3月6日 AFP】米ニューヨークの国連(UN)本部で開かれていた政府間会合は4日、公海における生物多様性保全を目的とした初の国際協定で合意した。
会合は2週間にわたって行われていた。3日からの夜を徹しての詰めの協議の末、4日午後9時30分にレナ・リー(Rena Lee)議長が「船は着岸した」と宣言すると、会場から拍手が起きた。
新協定により、昨年12月にカナダ・モントリオールで開催された国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で合意された、2030年までに陸と海のそれぞれ30%以上を保全する目標の実現にも弾みがつくとみられる。
地球温暖化の抑制にも役立っている海洋生態系は気候変動や汚染、資源の乱獲で脅かされている。現在、保護対象となっている公海は全体の1%程度にすぎない。しかし、新協定が発効すれば、公海での海洋保護区の設置が可能となる。
一方、海洋で新物質が発見され、医薬品や化学品、化粧品などに利用され利益がもたらされる可能性がある。この問題について、開発途上国と先進国との間の公平性の確保をめぐる議論も行われた。欧州連合(EU)は、先進国、途上国間の信頼醸成に向け、協定の批准と早期発効を促すため4000万ユーロ(約58億円)の拠出を表明した。
EU欧州委員会のビルギニユス・シンケビチュウス(Virginijus Sinkevicius)環境・海洋・漁業担当委員は5日、新協定について「現世代および将来世代にとって極めて重要な海洋生物と生物多様性を保護するための大きな前進になった」と歓迎した。(c)AFP/Amélie BOTTOLLIER-DEPOIS / Peter HUTCHISON