■軍事解決はない

 オルロフ氏は、ロシアは「数か月の間にザポリージャ原発をロシアの電力網に接続しようとしたが、奏功しなかった」と語る。

 エネルゴアトムによれば、送電網が損傷しているため、ロシアは原子炉を稼働させられないでいる。ウクライナ国内の電力網に送電線1回線でつながっているだけだ。

 同社は、ロシアが自国の専門家を派遣してきたとしても、「技能は不十分で本格稼働は無理」とみている。

 問題は、原発の閉鎖によって「システムおよび装備の段階的な劣化」がもたらされることだ。

 同社はまた、国内の電力網につながっている最後の1回線が寸断された場合、「原発自体の事故あるいは放射能漏れにつながるリスク」があると警告している。

 米シンクタンク「戦争研究所(ISW)」は、ロシア側はザポリージャ原発をめぐる「脅威のエスカレーション」を通じ、南部における「ウクライナの将来の反攻を抑止しようと試みている」可能性があると分析している。

 IAEAは昨年9月、同原発に監視員を派遣。施設周囲に安全地区を設定する措置を取りまとめようとしているが、交渉は暗礁に乗り上げているもようだ。

 ラファエル・グロッシ(Rafael Grossi)事務局長は2日、ツイッター(Twitter)に、監視員の交代が完了したとし、ヘルメットと防弾チョッキを着用した監視員が損壊した橋を渡って原発に向かって歩いている様子を映した動画を投稿した。

 オルロフ氏は「彼ら(監視員)が現場にいるという事実自体がプラスになっている」と指摘。外交的な解決に委ねるしかないと話す。

「自明のことだが、軍事的な手段によって欧州最大の原発を非軍事化したり、占領状態を解こうとしたりする者はいないからだ」(c)AFP/Ania TSOUKANOVA