【3月4日 AFP】ロシアとベラルーシの選手の出場を禁止しているテニスのウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2023)について、主催者が今年の大会前に処分を解除する公算が大きいと、英メディアが3日に報じた。

 ロシアによるウクライナ侵攻が開始された昨年、英国庭球協会(LTA)には英政府から制裁を科すよう圧力がかかった。最終的にロシアとベラルーシの選手は、ロンドンのクイーンズクラブ(Queen's Club)で開催される歴史あるシンチ選手権(2022 cinch Championships)をはじめ、LTAが主催する男子ツアーの全5大会で出場禁止となった。

 さらには、ウィンブルドンを主催するオールイングランド・ローンテニス・アンド・クローケー・クラブ(AELTC)も、四大大会(グランドスラム)の他の3大会が両国の選手に制裁を科していない中で、LTAと同様の措置に踏み切った。

 しかし、英日刊紙デーリー・テレグラフ(Daily Telegraph)はこの日、「AELTCはロシアとベラルーシの選手への制裁措置を引き下げることが予想される」と報道。一方、その条件として両国の選手たちは大会期間中、戦争を「支持あるいは賛美」しないという誓約書にサインすることが求められる可能性があるとした。

 AELTCの広報担当者はAFPの取材に対し、「この件に関しては、英国政府や重要な利害関係者と緊密な協力を続けている」と回答した。

 男子プロテニス協会(ATP)は昨年、ロシアとベラルーシの選手を出場停止にしたLTAとAELTCに対し、総額100万ドル(約1億3600万円)の罰金を科した。また、ATPと女子テニス協会(WTA)は、ウィンブルドンではランキングポイントの付与を行わなかった。

 英テニス界がこのまま制裁を続ければ、ウィンブルドンの前哨戦であるシンチ選手権やイーストボーン国際(Rothesay International Eastbourne 2023)などの主要大会の開催権を剥奪され、さらには巨額の罰金が追加される恐れがある。

 ロシアとベラルーシの選手は現在、他の大会への出場は続けているものの、国名や国旗の下でのプレーは禁じられている。

 今年のウィンブルドンは、7月3日から16日まで開催される。(c)AFP