【3月3日 AFP】ノルウェー政府は2日、建設後に違法と判断された西部フォセン(Fosen)地方の風力発電所をめぐり、先住民族サーミ人のトナカイ農家に謝罪した。

 最高裁は2021年10月、同発電所の風車151基の増設について、サーミ人がトナカイ遊牧という文化を実践する権利を侵害しているとして、土地収用と操業の許可を全員一致で無効と判断。しかし、既に稼働中の風車については指針を示さなかった。

 タリエ・オースラン(Terje Aasland)石油・エネルギー相はサーミ議会の議長との共同記者会見で、「政府を代表して、風車151基をめぐる許可が人権侵害につながることを謝罪した」と述べた。さらに、政府は風力発電所とトナカイ農家が共存できる方法を模索しているとした。

 発電所の影響を受けている6農家は、トナカイが風車の音と形を怖がっており、冬に最適な放牧地を奪われていると主張している。

 首都オスロでは2月23日から、同発電所に抗議するデモが行われ、活動家が政府庁舎を占拠・封鎖した。このデモはスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリ(Greta Thunberg)さんの支持を得ている。

 サーミ人は約10万人と推定され、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、ロシアの北部に暮らし、伝統的に漁業とトナカイの遊牧などに従事している。(c)AFP