【3月4日 Xinhua News】中国南西部の都市、四川省(Sichuan)成都市(Chengdu)は、火鍋のような油を多く使った辛い料理が好まれることから、中国で最も廃食用油が多い都市の一つとなっている。これまではただ廃棄されてきた食用油だが、現在は航空燃料原料などへの再利用が進んでいる。

 同市都市管理委員会の統計によると、市内の飲食店などが廃棄する食用油は1日当たり約400トン。同市には廃油処理企業が15社あるが、廃食用油からバイオジェット燃料(SAF)の原料を製造する企業は、四川金尚環保科技の1社しかない。

 同社の葉彬(Ye Bin)総経理によると、同社は十数年前から廃食用油の回収を始め、2015年から輸出を開始した。現在では市内で廃棄される食用油の7~8割を処理しており、混合オイル(トリアシルグリセロール)やバイオディーゼル燃料(先進バイオ液体燃料)などを製造している。

 昨年は10万トン余りの混合オイルを製造。オランダやフランス、英国、ドイツ、スペイン、ポルトガルなどに輸出した。

 同社の製品は品質の高さから人気があり、顧客にはフィンランドの再生可能燃料大手ネステ、香港のバイオマス関連企業エコセレス、中国エネルギー大手の中国石油天然気集団(CNPC)、中国石油化工集団(シノペック)、英国の石油メジャーBPなどの世界的なエネルギー企業が名を連ねる。これらの企業は混合オイルをさらに精製し、自動車や航空機の燃料、すなわちバイオディーゼル燃料やバイオジェット燃料に変える。

 葉氏は「従来の航空燃料と比べ、廃食用油から製造したバイオジェット燃料は、二酸化炭素(CO2)の排出を最大で8割以上削減することができる」と説明。「われわれの目標は廃食用油を『飛ばす』ことだ」と語った。(c)Xinhua News/AFPBB News