【3月2日 Xinhua News】中国の第2次青藏高原総合科学調査研究隊(青蔵科学調査隊)の「人類活動の歴史と影響」分隊が、西蔵(シーザン)自治区日喀則(シガツェ)市南木林(ナムリン)県の共塘遺跡で出土した遺物から3千年前の乳類残留物を検出した。青蔵高原での初期乳製品の消費を裏付ける証拠となる。研究成果は共同署名論文として中国の総合学術誌「科学通報(Science Bulletin)」に掲載された。

 中国科学院青蔵高原研究所や蘭州大学、西蔵文物保護研究所など研究者からなる同分隊は、共塘遺跡で採集した植物遺物や土器片などのサンプルを研究。植物遺物の年代測定で遺跡は3千年前のものと判明した。6点の土器片に対しては脂質残留物の分析も実施した。

 科学調査隊に参加する中国科学院青蔵高原研究所の張予南(ちょう・よなん)博士研究員によると、土器片6点の分析では、3点から乳製品の残留物が検出され、3点から反芻(はんすう)動物と非反芻動物の肉類の反応が出た。乳製品残留物が確認された土器片に対する熱ルミネッセンス年代測定の結果が遺跡の年代と一致したことから、土器は当時の住民の使用したものだと証明された。

 研究プロジェクトの責任者、蘭州大学の楊暁燕(よう・ぎょうえん)長江学者特聘教授は、乳製品保存技術の出現は遊牧業の形成と発展を促したと指摘。共塘遺跡で検出された乳類残留物の年代は、ラサ市の曲貢遺跡や山南市瓊結(チョンギェー)県のボンカ遺跡で草食動物の飼育と農牧業が出現した時期とほぼ一致するとし、乳類の2次製品(加工製品)利用と肉類などの1次製品利用が同時期に始まった可能性を示唆していると語った。(c)Xinhua News/AFPBB News