【2月28日 AFP】トルコで今月6日に発生し大きな被害をもたらした地震で、崩壊した建物の下敷きとなって死んだ娘の手を握る姿をAFPのカメラマンに撮影されて話題を呼んだ男性が、改めてAFPの取材に応じ、この写真がきっかけで世界中から支援やお見舞いのメッセージが届いていると語った。

 AFPのカメラマン、アデム・アルタン(Adem Altan)が震源に近い南部カフラマンマラシュ(Kahramanmaras)で撮影した写真には、厳しい寒さと雨の中、オレンジ色のジャケットを着たメスト・ハンチェル(Mesut Hancer)さんが、崩壊した8階建て集合住宅のがれきの下から伸びる娘のウルマクさんの手を握る姿が写されている。写真は多くの新聞の1面を飾り、インターネット上でも多く閲覧された。

 現在、首都アンカラで暮らすハンチェルさんは、地震によって娘だけでなく、母親やきょうだい、おいを亡くしたと説明。「でも、子どもを埋葬することに匹敵するものはない。言葉にできない痛みだ」と語った。

 カフラマンマラシュのパン店で働いていたハンチェルさんは、実業家のネジャト・ギュルセベン(Necat Gulseven)氏と妻で人気歌手のエブル・ヤシャール(Ebru Yasar)さんの取り計らいにより、同氏が所有するテレビ局での事務職に就き、アンカラで家族と共に暮らすためのアパートも用意された。

 アパートの居間には、あるアーティストから進呈された絵が飾られており、そこには天使となったウルマクさんに寄り添うハンチェルさんが描かれている。「娘の手を離せなかった。娘はベッドで天使のように眠っていた」とハンチェルさんは回想した。(c)AFP