【2月27日 Xinhua News】中国の北京大学の程和平(Cheng Heping)氏と王愛民(Wang Aimin)氏の研究グループは、重さわずか2・17グラムの超小型3光子顕微鏡を開発し、大脳皮質と脳梁を直接透過し、自由行動下のマウスの大脳皮質全体と海馬ニューロンの機能的イメージングを初めて実現した。これにより、大脳深部構造の神経メカニズムを解明する新たな研究パラダイムが切り開かれた。研究成果は24日、学術誌「Nature Methods」オンライン版に掲載された。

 人間の脳には100億単位の神経細胞と、100兆単位のシナプスがあり、構造面や機能面に極めて複雑かつ精密に結合し、互いに作用しており、意識と思考を生む物質的基礎となっている。

 研究チームメンバーで同大学未来技術学院の趙春竹(Zhao Chunzu)博士研究員は海馬について、大脳皮質と脳梁の下部にあり、記憶の定着や空間記憶、感情的記憶の銘記などで重要な役割を担っていると説明。しかし、大脳組織、特に脳梁は光伝播に対して高い散乱特性があるため、脳梁を透過して大脳深部を直接イメージングすることは、神経科学者にとって長い間大きな課題となっていた。これまで国際的に知られた超小型多光子顕微鏡で、大脳皮質全体を透過して直接海馬エリアを非侵襲イメージングできたものはなかった。

 今回新たに開発された超小型3光子顕微鏡は、これまでのイメージング深度の限界を一気に突破した。同顕微鏡の励起光路はマウスの大脳皮質と脳梁を透過し、マウスの海馬のCA1野の直接観測と記録を実現。神経細胞のカルシウムシグナリングの最大イメージング深度は1・2ミリ、血管の最大イメージング深度は1・4ミリに達した。

 今回のイメージング深度の限界突破は、同顕微鏡の新たな光学系設計により実現し、散乱蛍光の収集効率が飛躍的に向上した。また、明らかな光退色と光損傷を起こさずに神経細胞の機能活動を長時間、途切れることなく観察できる。(c)Xinhua News/AFPBB News