【2月24日 CGTN Japanese】上海市内に本部を置く中国の名門大学の復旦大学のコンピュータ科学技術学院の邱錫鵬教授の研究チームがこのほど、中国初の対話形式で意思疎通を行う大規模言語モデル「MOSS」を発表しました。MOSSは中国版チャットGPTとも呼ばれています。

 MOSSは数日前に公開プラットフォーム(https://moss.fastnlp.top/)で、一般の人々を対象に正式運用前のトライアル公開を開始しました。意外なことに瞬時にアクセスが殺到し、コンピューティングリソースが対応できなくなったため、トライアルの窓口は一時的に閉鎖せざるをえなくなりました。この事態により、MOSSはさらに大きな話題になりました。

 米国企業のオープンAIが開発したチャットGPTは人間からのフィードバックによる強化学習(RLHF)を用いてトレーニングされます。中国のMOSSは人間や他のAIモデルと対話することで学習します。

 MOSS開発の基本的な進展方式はチャットGPTと同様で、汎用自然言語モデルの基礎トレーニングと人間の意図を理解するための対話能力トレーニングの2段階で構成されています。MOSSはパラメータ数がチャットGPTより1けた少ないために、タスクの達成度と知識の蓄積量について、向上の余地が極めて大きいとされています。

 MOSSの公式サイトに発表された公告は、「MOSSは極めて未熟なモデルであり、チャットGPTに追いつくためには長い道のりを必要とする。現行版MOSSの動作は安定しておらず、一部の回答に事実の誤認や論理の矛盾といった問題が存在する。また、MOSSの英語回答レベルは中国語の回答レベルよりも高い。これは主にモデルベースの単語収録数によるものだ。MOSSは3000億語以上の英単語を学習したが、中国語単語は約300億語しか学習していない」と説明しています。

 学術界だけでなく、中国のIT企業も続々と「自社版チャットGPT」の開発に乗り出しています。電子商取引プラットフォームと口コミサイトを運営する美団(メイトゥアン)を共同創業した王慧文氏は最近になり、「チームを組んで新時代に挑み、中国版オープンAIを樹立する」と表明しました。中国のインターネット検索エンジン最大手の百度(バイドゥ)は3月に、百度版チャットGPTの「文心一言(英語名はERNIE Bot)」をリリースすると発表しています。中国の電子商取引最大手のアリババグループの研究施設「達摩院」もチャットGPTに類似したチャットロボットを開発中であり、社内テストを実施しているとのことです。(c)CGTN Japanese/AFPBB News